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炎上をくり返すnote社/cakesの事件録。今度はコミケ転売記事で批判殺到

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事例3:ホームレス取材のスタンスに批判

 昨年には「cakesクリエイターコンテスト2020」で優秀賞を受賞し、cakesで公開された記事「ホームレスを3年間取材し続けたら、意外な一面にびっくりした」も炎上した。執筆者は、「河川敷に暮らすホームレスを取材し続けている」という、あるライター夫妻。

 記事公開直後から、ホームレスの人たちを興味の対象として捉えているような表現、プライバシーへの疑問、またホームレス生活を送ることになった彼らの背景やセーフティネット、そして路上生活の危険性については触れられていないことなどに批判が殺到。現在は、さまざまな指摘を受けて冒頭の文章が変更され、冒頭と末尾に以下のコメントが追記されている。

「※本記事は、ホームレスの方々のプライバシーに配慮し、掲載許諾をいただいた上でお届けします。著者とホームレスの方々との関係性についての説明が不足していたため、2020年11月16日11:28に本欄と本文の一部を修正しました。同17:06に著者からのコメントを本記事の末尾に追記しました。」

 3年の長期にわたるホームレスの人々への取材で「cakesクリエイターコンテスト2020」優秀賞を受賞し、華々しいデビューを飾ったはずの夫婦だったが、いまだに連載の2本目は公開されていない。

事例4:貧困の現場を“エモいPR記事”に仕立てて炎上

note

※画像はnoteより

 また今年4月には、noteにて公開された大阪市のPR記事も炎上した。新今宮を訪れたライターの島田彩氏が、居酒屋で隣に座った地域の人からおごってもらったことをキッカケに、おごってもらった2,000円分を誰かにおごることを決意。新今宮に滞在中は、「借りができた分、貸しをつくる」というマイルールを決める。

 noteの内容は、島田氏のそういった出来事を綴ったもので、記事公開当初は内容を肯定する好意的なコメントが多かった。

 しかし数日後、「PR記事だとわかりにくかったこと」のほか、記事中で「白和え」や「回転焼き」を地域の人と半分に分け合って食べているなど「コロナ禍での配慮が欠ける」と炎上。ホームレスの人をエモいコンテンツに落とし込もうとしているとも指摘された

 ただし、のちに彼女は、noteの慣例に基づいたPR表記の指示を受けて記事を公開したことを明かしている。また、2021年7月22日には本エッセイに対する経緯説明や反省、まちの方へのインタビュー、それらを受けて学んだことを綴った記事を公開した。

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 誰もが表現者となりうるいまの時代、正しい知識を持たない大人たちや製作者側の人間が、未来ある若者やクリエイターたちを巻き込んで炎上する例が少なくない。コンテンツ掲載やイベントなどで企業とかかわるときは、どういった理念や信念を持っているのか、過去の炎上事例も踏まえてしっかりと調べておく必要があるだろう。

<TEXT/山内良子>

フリーライター。おいしいものや楽しいこと、旅行が大好き! ライフ系や節約、歴史や日本文化を中心に、取材や経営者向けの記事も執筆。金融会社での勤務経験や接客改善業務での経験を活かした記事も得意です

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