ラオックス「日本人向けに転換」でも苦境。驚きの一手で親会社を救済へ
コロナ禍のなか、大手免税店「ラオックス」が反転攻勢に向けた動きを見せている。
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前回の記事で紹介した、東京・秋葉原の本店では2017年に閉館していた人気ホビー・サブカル専門店「アソビットシティ」の売場を復活。また、京都・河原町の新店舗では地元女性客をターゲットに「輸入アジアンコスメ」の売場を充実させるなど、かつての免税店とは大きく異なる「外国人観光客に頼らない新業態」での新たな顧客の獲得に躍起だ。
こうした動きの一方で、秋葉原や京都の店舗と同じく嗜好性の強い商品を武器に「日本人向けにリニューアル」をおこなったラオックスであっても、早くも閉店に至ってしてしまった店舗もある。そんなラオックスが「起死回生の一手」として立ち上げた新会社とは――。
「日本人向けリニューアル」でも前途多難
かつて外国人観光客で大きな賑わいを見せていた大阪ミナミ・道頓堀。この一等地、グリコのネオン看板から僅か徒歩1分のところにあったのが、ラオックスの旗艦店「ラオックス道頓堀店」だった。
ラオックス道頓堀店はわずか2年弱前の2019年12月に1期開業。戎橋近くの道頓堀商店街にあるパルコ系の商業ビル1棟借りでの出店で、全館の店舗面積は約3500㎡とラオックスのなかでも有数の大型店で、大阪・ミナミを代表する大型免税店に「食」をコンセプトした新業態売場を併設するかたちの複合店舗として多くの客を集める……はずであった。
しかし、全ての売場が開業する前、開業から僅わずか2か月後には中国で新型コロナウイルスの感染が拡大し、外国人客は激減。商店街路や店頭に「がんばれ武漢」の文字を掲げつつ免税売上の回復を待つこととなったが、今後は日本国内でも新型コロナウイルスの感染が拡大。全面開業は延期され、そして「がんばれ武漢」の貼り紙は「がんばれ大阪」に差し替えられた。
地元の女性客とサブカル好きをターゲットに
そうしたなか、ラオックス道頓堀店は「コロナ禍に対応した業態」として、当初から開業していた部分も含めて2020年7月にようやく全面リニューアルオープンすることとなった。
このリニューアルオープンでは、エントランスには2015年に中国・深圳で創業した中国大手のカフェ・ベーカリーチェーン「奈雪の茶」が日本初出店したほか、地元民も楽しめるスイーツ店などが出店。
また、京都・河原町のラオックスと同様にアジアンコスメやアジアンフードの取り扱いをおこなうほか、催事コーナーではリニューアル後のラオックス秋葉原本店と同様に人気アニメ「エヴァンゲリオン」や「天気の子」のポップアップイベントが開催されるなど、「女性を中心とした地元客」と「サブカル好き」の日本人客をターゲットにした新業態店舗へと生まれ変わった。