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交通事故で社内不倫が発覚した20代社員を左遷。会社の判断は本当に正しいのか

学び

会社員としての理性とはなにか?

退職者

 大津氏が繰り返し話していたのが、次の言葉だ。「交通事故と不倫の問題を1つのフレームワークで捉えるべきではない」「法律の問題と実態や感情的な問題をわけるべき。例えば、不倫がいけないといった感情論でこの2人の扱いを決めるべきではない」。

 こういうアプローチは今回のような事例の場合、見失いがちではないだろうか。男性からすると、この男性社員に嫉妬心や反発心があり、「辞めさせてしまえ」となるかもしれない。女性もまた、女性社員に同じような思いになる場合があるのかもしれない。

 あるいは、男性は女性社員に、女性は男性社員に不快なものを感じ、「辞めるべき」と結論を導く場合もあるだろう。だが、大津氏への取材を通じて、双方をわけて考えるのが会社員としての理性であり、良識なのだとあらためて思った。

<取材・文/吉田典史>

【大津章敬】
1994年から社会保険労務士として中小企業から大企業まで幅広く、人事労務のコンサルティングに関わる。専門は、企業の人事制度整備・ワークルール策定など人事労務環境整備。全国での講演や執筆を積極的に行い、著書に『中小企業の「人事評価・賃金制度」つくり方・見直し方』(日本実業出版社)など

ジャーナリスト。1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006年より、フリー。主に企業などの人事や労務、労働問題を中心に取材、執筆。著書に『悶える職場』(光文社)、『封印された震災死』(世界文化社)、『震災死』『あの日、負け組社員になった…』(ダイヤモンド社)など多数

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