TikTok動画は「3秒で面白く」。美女コスメインフルエンサーに聞く、人気の秘訣
TikTokの特性を踏まえた工夫を
続いて、フォロワー数約30万人のありちゃん。
「私は新卒でコスメ・美容の総合サイト『@cosme』を運営する会社に入り、丸4年勤めていました。入社2年目くらいから趣味で美容の発信を始めて、入社3年目には会社公認の『社員インフルエンサー』に。2021年に独立し、現在はSNS発信1本で生計を立てています」
偶然にも美容系サービス会社を経由して独立していた2人ですが、ありちゃんの動画の特徴はやみちゃんとはガラリと違います。ありちゃんの動画で目を引くのは、冒頭で必ず「毎月の支出の半分をコスメに充てる女」というテロップが表示されること。その上で、コスメの紹介に入っていきます。ここにはどのような意図があるのでしょうか。
「自分の差別化ポイントは【とにかくたくさんのコスメを試している】ことだと定義したんです。なので、冒頭ではその事実を表す『毎月の支出の半分をコスメに充てる女』というコピーとともに、そのエビデンスとして大量のコスメを写すようにしています」
確かに、冒頭で大量のコスメが目に入ると、「この人の商品紹介なら聞いてみたい!」と期待感は高まりますね。その後の解説の説得力も増しそうです。冒頭に隠された仕掛けは、それだけではありません。TikTokの特性を踏まえた工夫も施されていました。
「TikTokとの大きな特徴は、受動的にコンテンツの中身が再生されること。ほかのプラットフォームでは、能動的にタップしてもらわないとそもそもコンテンツの中身に辿り着いてもらえませんが、TikTokは最初から一定の人にはコンテンツの中身を見てもらえるじゃないですか」
冒頭の数秒で何をするのか?
「その分、動画の冒頭で感情を動かすことがすごく大事なので、動画の前半では視聴者さんが『おっ』となるようなコスメを優先的に紹介しています。たとえば、みんなが気になっている新作や、SNSで話題になっていた商品など。あとは、『~って知っていましたか?』とか『皆さん、大ニュースです!』など、つい続きを聞きたくなるような言葉を冒頭に入れたりもします。どのタイミングでどんな言葉を使うかには、結構こだわっているつもりです」
こうして視聴者の興味を惹きつけたら、そこからはありちゃんの真骨頂。商品の魅力や使用感を、圧倒的な情報量で伝えていきます。
「TikTokでは、コスメ動画でも見ていて飽きないエンタメ要素がある動画が人気だなという印象があります。ですが、私の動画はエンタメ要素はほとんどいれず、『参考になる』『勉強になる』という領域で支持をしていただいているように感じています。
とにかくたくさんのコスメを試して、本当に良かったコスメのみを紹介するというスタンスで発信をしていると、見てくださった視聴者さんがコメント欄で『それ本当に良いよね!』と共感してくださるんです。その結果、コンテンツへの信憑性がさらに高まります。
私のコンテンツは、コメント欄も含めて1つの価値になっていると思うので、そのためには皆が『良いよね!』と共感できるような質の良いコスメを見つけ続ける事が重要だと感じています」
実際、特にヒットしているのは、月終わりにアップする「今月買って良かったコスメ」の紹介動画。視聴者にとってありちゃんが、信頼できる“審査員”になっていることが伺えます。