ファミマの売れすぎた「クリスピーチキン」。初代CMOが語る、ヒットを生む秘訣
数多くの企業を立て直してきた敏腕経営者・マーケターとして知られ、2020年からコンビニ大手ファミリーマートの初代CMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)に就任した足立光さん(@hikaruadachi)。
一橋大学を卒業後、P&Gジャパンに入社、日本人として初の韓国赴任を経験。その後もシュワルツコフケンケル代表取締役社長、日本マクドナルド上級執行役員、ナイアンティック・アジア・パシフィック プロダクトマーケティングシニアディレクターなどを歴任しました。
今回は、立て続けにヒット商品を生み出す足立さんが考えるマーケティングについて、フジテレビ「#シゴトズキ」MCの清水俊宏さん(@goodboytoshi)が話を聞きました(※本記事は2021年6月のインタビューを元に作成しております)。
ファミリーマートのマーケティング、3つの軸
清水俊宏(以下、清水):ファミリーマートのCMOに就任されてから、具体的にどのようなお仕事をされているのでしょうか。
足立光(以下、足立):マーケティングの責任者として、大きく分けて3つの軸で活動しています。発信するニュースを面白く、大きくすること。情報発信に使用するオウンドメディアを太くすること。発信を通じてお客様や関係者の意識を変えていくことです。
清水:人の意識は、マーケティングの力で変わるものなのでしょうか?
足立:マーケティングは販促やコミュニケーションと思われがちです。しかし、真のマーケティングとは施策を通じてお客様の心を変え、行動に変化をもたらすこと。マーケティングは、マーケティング担当のみが行っているわけではありません。例えば営業が顧客に商品を見せて相手の心を動かし、「買う」という行動を起こさせることはまさにマーケティングです。
人事もそのひとつと言えるでしょう。会社の情報発信を通して応募者を増やし、社内制度を変えることで離職率を減らす。あらゆる施策を通して人の心に変化をもたらし行動を変えてもらう、これもマーケティングです。
クリスピーチキンはヒット商品に
清水:足立さんが入社されたことで「意識が変わったな」と実感されたことはありますか。
足立:私がジョインしてから半年(2021年6月時点)なので、大きな変化はまだ見られていません。しかし、会社の力を結集すると売上を伸ばせることは証明できていると思います。具体的には、2021年3月からクリスピーチキンという新商品の発売を開始しました。過去最高の売上を作り、一時休売となるヒット商品になりましたが、マーケティングにかけた資金はこれまでと全く変わっていません。
足立:他にも、カレーパンとメロンパンが注目を集めています。特に広告を打ち出していませんが、魅せ方の工夫と営業が陳列してくれることによって過去最高レベルの売上が続いています。