徳井・小沢とシェアハウスで暮らした放送作家の気づき「自分がすごいと思う人と住むべき」
テレワークが進むにつれ、より「効率化」「生産性アップ」が求められることとなった。そんな時大切なのは「同僚」の存在。出勤して面と向かい合って話していれば、エネルギーや洞察力、サポートを与えてくれるが、オンライン上ともなると、これまでどれだけ関係値を作ってきたかにかかってくる。
デビュー小説『三人』を書いた放送作家・桝本壮志さん(45・@soushihirosho)は、もともとは吉本興業が運営する養成所NSC出身。同期で仲の良かったチュートリアルの徳井義実さん、スピードワゴンの小沢一敬さんらとシェアハウスで同居していたという異色の経歴だ。彼らとは、道を別にしても定期的に助けになってくれることを明かす。前回の記事に続き、“近くにいるべき存在”はどんな人たちが理想なのか語ってくれた。
シェアハウスに一緒に住むべき人物像
――徳井さん、小沢さんと同居するようになった経緯を教えてくれますか?
桝本壮志(以下:桝本):最初は同期ということで仲良くなったんですが、そこから頻繁に遊ぶようになって、いつの間にか週に4回会うようになったんですね。「さすがにやばいよな、俺たち」ってことで、一緒に住むようになりました。コロナで解消するまで、6年ちょっと同居してましたかね。はたから見ると、相当気持ち悪いと思いますよ。40歳を超えたおじさんたちが、日々、野球や女の子の話をするだけなんで(笑)。
でもなんでこんなに一緒にいるのかなと考えたんですが、「視野を広げてくれる」存在なんですよね。小沢くんだと音楽、漫画などのカルチャー、徳井くんは日常を便利にするツール。UberEatsを利用し始めたのは周りの中でも相当早かったと思います。ふたりとも相当な“好奇心力”があって、凝り固まった思考をほぐしてくれるんです。
NSCにいる生徒さんでもハウスシェアする人が多いんですけど、僕はよく「自分がすごいと思う人と住みなさい」と言っています。自分より映画が詳しい、自分より体力がある、自分より忙しい……世間の絶対評価じゃなく、自分にとって学びがある存在と、長い時間過ごすことがプラスの人生になっていくはず。
芸人が長く売れ続けるためには
――そうしたNSC生徒にアドバイスする立場にいらっしゃるわけですが、桝本さんから見て「売れる芸人」「売れない芸人」の違いってどこにあるのでしょうか。
桝本:簡単に言うと、面白ければ売れると思います。だけど、長く売れるためには「ピュア」な人じゃないと駄目。結局、それは人の気持ちがわかる人なので、ゆくゆく自分の面白さを培養してくれるスタッフが周りに集まってくる。芸人じゃなく、放送作家でも「スタンドプレー」で長く成功した人の話は聞かないです。
早めに挫折を味わうのも、長いこと業界にいられるコツかもしれませんね。思い返せば、僕が18~23歳のときは「思ってたんと違う」の連続で、それまであった自尊心が見事に崩されました。ただ、そのおかげで周りに目を向けられるようになった。いま、学生サークルでお笑い賞レースを獲って鳴り物入りで来る人もいますが、一度、壁にぶち当たるだけで心がポキっと折れちゃって、芸人をやめちゃうことも。
今や当たり前のようにテレビに出ているブラックマヨネーズも、M-1チャンピオンになるまで10年以上はかかった。ボケの吉田(敬)は大会前に遺書を書くぐらい辛酸を舐めてきました。そんな時期を経験しているからこそ、いまいろんな仕事に対応できているんじゃないですかね。