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若手3人で作った映画会社A24が、10年たらずでアカデミー賞連発。どこが凄いのか

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 2021年4月25日夕(日本時間26日午前)、アカデミー賞の発表があった。作品賞はクロエ・ジャオ監督『ノマドランド』が受賞したが、韓国系移民2世であるリー・アイザック・チョン監督『ミナリ』でユン・ヨジョンが助演女優賞を韓国人俳優として初めて受賞したことも話題になっている。

オスカー像

Oscar academy awards gold statue trophy © Dimitris Barletis/Dreamstime.com

『ミナリ』は6部門にノミネートされ、作品賞も有力視されていたが、移民の生活や家族愛を描いたこの作品を送り出したのは、やはりあの会社だった。その名はA24

 2012年設立と会社の歴史は浅いながらもすでに100以上のタイトルをリリースし、話題作を連発。アカデミー賞では前評判の高かった『ラ・ラ・ランド』(‘16)を制して、『ムーンライト』(‘16)が作品賞を受賞するなど、毎年賞レースの常連となっている。映画好きの間では有名な会社であるが、この機会にA24の凄さの理由を検討してみたい。

若き経営者たちが設立

 簡単にA24の歴史を振り返ると、同社は2012年にA24フィルムズという映画配給会社として設立され、2013年から映画製作を開始。2014年からテレビ番組部門を立ち上げ、昨年からはAppleとパートナーシップ関係の元、AppleTV+で作品の配信を開始している。

『ルーム』(‘15)、『20センチュリー・ウーマン』(‘16)、『mid90s ミッドナインティーズ』(’18)、『アンダー・ザ・シルバーレイク』(‘18)、『WAVES/ウェイブス』(’19)、『ミッドサマー』(‘19)など、日本でも話題となったヒット作を連発している。

アンダー

『アンダー・ザ・シルバーレイク』 (C)2017 Under the LL Sea, LLC

 そんなA24を作ったのはなんと当時30代の経営者3人だった。米資産運用会社グッゲンハイムパートナーズで映画財務を担当していたダニエル・カッツ、人気ユニット、ビースティ・ボーイズの故アダム・ヤウクと組んで映画配給会社オシロスコープを立ち上げ、『ビースティ・ボーイズ 撮られっぱなし天国』(‘06)などを世に送り出したデイヴィッド・フィンケル、そして、コメディー映画の傑作として知られる『リトル・ミス・サンシャイン』(‘06)で知られるビッグ・ビーチ・フィルムズの制作・開発部門の責任者だったジョン・ホッジスは、新しい映画作りを目指しハリウッドとは一線を画そうと、自分たちが慣れ親しんだニューヨークに本社を置いて活動を開始した

 同社の特徴は「インディーズ的な作風」を重視しながら、製作能力が高く、ある程度の規模の資本を動かすことのできる経営者がいたということであろう。実際、会社のスタートにあたってはダニエル・カッツが所属していたグッゲンハイムパートナーズが数百万ドルの資金を提供したという。カッツは同社で「Think Film」という作り手の立場に立った初めての映画ファンドを設立していた。言わば映画に精通した金融のプロが仕切って始めた会社だったのだ。

低予算、エッジの効いた作風で躍進

ミナリ

『ミナリ』Photo by Melissa Lukenbaugh, Courtesy of A24

 A24の社風はさながらシリコンバレーのスタートアップベンチャーのような雰囲気だとも言われている。低予算ながらもエッジの効いた作風でアカデミー賞の常連となり、感覚だけに頼ることなく、緻密にマーケティングをして結果を出す。そんな会社のスタンスそのものが若者たちの憧れになっているというのだ。

 同社のHPを見るとシンプルながらもセンスのよいビジュアルに思わず目を奪われる。中でも同社の特徴はグッズ販売に力を入れていることだろう。HPやインスタグラムのショップページには、作品の脚本やポストカードのみならず、フリース、トレーナー、Tシャツやキャップ、ジムショーツなどアパレルショップのような品揃えである

 そのどれもが映画のノベルティグッズではなく、ファッションとして商品そのものを手に入れたいと思わせるものなのだ。また、作品で使用されたグッズのオークションを行っていることも興味深い。

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