コロナ時代に建設坪単価300万円。“異色の立ち飲み屋”を仕掛け人が語る
新型コロナウイルスや緊急事態宣言の影響で、飲食・アパレルなどテナント撤退が相次いでいるなか、2021年3月26日、JR高円寺駅(東京都杉並区)北口に開店したのが立ち飲み屋「酒チャンス」。
クラファンで多数の支援を集めたことで話題になったこのお店。すでに多くの方が来店の感想をTwitterに投稿しているようです。プロジェクトの中心人物となった「全国宅地建物取引ツイッタラー協会」(全宅ツイ)の、かずお君(@kazuo57)に開業エピソードを聞きました。
「酒チャンス」開店に至るまでの経緯
――「酒チャンス」開店おめでとうございます。非常に薄いお店が完成したわけですが、改めて開業の経緯を教えてください。
かずお君(以下、かずお):もともと、あそこには立ち食いうどん屋さんが営業していたのですが、2018年の台風で店舗が倒壊してしまいました。そのビジュアルのインパクトが強大だったことで、僕ら全宅ツイが主催するネットの投票イベント「クソ物件オブザイヤー2018」で入賞もしています。
その後、跡地をウォッチしてましたが再建や活用する様子がなく放置されたままでした。
その頃、「note」でのメディア事業で多少の売上が立つようになった僕らは、あの土地の建物図面を書いて、半ば冗談で「高円寺のあの土地、地上げできるんじゃない(笑)」みたいにふざけてたら、気づいたら本当にプロジェクトとして始動していた感じです。
――お店を建ててみたところ、建築坪単価が300万円を超えたと聞きました。
かずお:全国の商業店舗の構造別建築坪単価は、
木造で58.9万円/坪
鉄骨造で62.5万円/坪
RC(鉄筋コンクリート)造で98.6万円/坪
SRC(鉄骨鉄筋コンクリート)造で133.5万円/坪
でして、木造の酒チャンスは平均の5倍の予算をかけ作られました。来店時はリッチな店舗をぜひご覧ください。
通常5倍の開業費用がかかった理由
――建設坪単価300万! 番頑丈なSRC造と比べても2倍以上。狭い店舗だと建築費用が割高になるとはいえ、そこまでして開業する意義みたいなものがあった感じでしょうか。
かずお:いや、プロジェクトマネージャーの私も正直良くわかんないです(笑)。まあ、クソ物件オブ・ザ・イヤーの入賞作品で事業をオープンしたら面白いだろうと。甲区(※不動産登記簿の所有権に関する事項を記載する欄)に名前刻めるし。ただそれだけで突き進んだプロジェクトと言えます。
このプロジェクトを通して、会社という単位でなくてもプロジェクトが進むんだな、ということが実感できました。これからの働き方ってこうなるのでは。
――いわゆる「ギルド型」でプロジェクトを進めるのは、各分野の専門家がいる「全宅ツイ」と相性が良さそうですね。
かずお:「やると決めたら絶対目標達成する」のが僕のポリシーなので、猪突猛進でプロジェクトを進めてしまいました。巻き込まれた皆さんメンゴです。