「百人一首で手が触れた瞬間に」コロチキナダルの中1でのいじめ体験
「いじめの中心人物」と凱旋ライブで再会
――そこから中学生のうちに、状況が変わることはなかったのでしょうか?
ナダル:そのあと、卒業するまではずっと変わらずでしたね。最初は何されても堂々としてたんですが、だんだんと口数も少なくなって、如実に暗くなっていったので、いじめの回数は減っていきましたけど。
実はいじめの中心的人物とは、コロコロチキチキペッパーズを組んでから再会してるんですよ。2015年に『キングオブコント』で優勝して、僕の地元で凱旋ライブをすることになったんですが、途中でビンゴ大会があって。MCをしてて、「当たった人〜」って会場に向かって言ってたら、「やったー当たった! 久しぶり〜」って、そいつが舞台に上がって来たんです。
――うわ! それはまさかの展開ですね。
ナダル:突然のことに、僕も固まっちゃいましたよ。そこで「こいつは同級生でしてね〜」って言えたら良かったんですけど、反射的に血の気がサ―ッと引いて黙っちゃって。相方の西野も「どうしたん?」って心配して聞いてくるレベルでした。まあでも何とか持ち直して、考えついたのは「みんなが見ている前で仕返ししたれ」ってこと。で、口から出た言葉は「まあ、いまこの子は明るく元気いっぱいですけど、中学のとき僕をさんざんいじめてたんですよね!」でした。
やられた側が許さない限り続いている
ナダル:そしたら、周囲は「シーーーン」ですよ。やっぱり“復讐”の気持ちがにじみ出てるから、言い方がポップじゃなかったんでしょう。そいつは焦りながら「え、そんなことしてるわけないやろ〜」ってしらを切ってましたが。とりあえず、僕としてはそこでスッキリできましたね。あとで聞いてたおかんからは「なんであんな事、言うの!」ってめっちゃ怒られましたけど(笑)。
結局、いじめって、やられたやつが許さへんかったら終わりじゃないと思うんですよ。(霜降り明星の)せいやは、僕よりもひどかったみたいですけど、「負けへんぞ」っていう気持ちで、やられたこと全部にボケたり突っ込んだりして、最終的には跳ね返した。でもそんなん、ほんまに一握りです。
若い時はプライドがあって、自分が「いじめられてる」って認識するのも嫌じゃないですか。いろんな場所でいろんないじめがあるから、安易なことは言えないんですが、やっぱり現実を1回認めて、どこかに“はけ口”を作って欲しい。
僕もまだ話せる男友だちがいたから心が助かったので。もし、それさえもなければ、「いつでも逃げていい」ってことは伝えたいです。
<取材・文/東田俊介>
【ナダル】
1984年生まれ。NSC大阪校33期生、2012年4月に西野創人とコロコロチキチキペッパーズを結成。2015年、キングオブコント2015で優勝。YouTubeチャンネル「コロコロチキチキペッパーズのよろチキチャンネル」は日々更新中
Twitter:@korochiki_nadal。