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「百人一首で手が触れた瞬間に」コロチキナダルの中1でのいじめ体験

暮らし

孤立を決定づけた「百人一首大会」

百人一首

――そこからよりいじめが悪化したそうですが、具体的に何をしたのでしょうか?

ナダル:その後も、女子とはまったくしゃべれてなかったんですけど、男の友だちはまあそれなりにいたので、なんとかメンタルは保っていた感じでしたね。でも、やっぱりこの流れを変えたかったので、中学1年の終わりの「百人一首大会」で挽回しようと思って

 僕の住んでいたところは、京都でも唯一の「村」だったので、学年全員集めてもA・Bの2クラスしかないから、合同実施だったんです。みんながおる中でぶっちぎりで優勝したら、ヒーロー扱いされるんちゃうかってことで、冬休み中、毎日めっちゃ暗記したんですよ。それこそ、上の句が読まれたらすぐ「バン!」って札を取れるぐらいに。

 当日は、グループ対抗の戦いだったんですが、これがまた不幸なことに、僕をいじめてた中心的な存在の2人が対戦相手にいたんですね。向こうも、僕が目の前に座った瞬間「えっ、おるやん……!」って言ってきて。それでも「ここで心がブレたらあかん」と思って、目の前に集中してたんです。

 いざはじまったら、「なんとかの〜」って読まれた瞬間、すぐに「パン!」って取れて。周囲もざわつくわけですよ、「アイツ、めっちゃ強いやん」って。内心ワクワクしたまま、その後半分以上取って「これはいけるな」と思った次の読み札で、僕が先に手を置いたあと、遅れて向かいの女子が手を出して重なっちゃったんですよ。

「あとで石鹸で手ぇ洗っときや」

ナダル

ナダル:そしたら、「イヤアアアアアアア!」って、会場だった体育館中に響き渡るぐらい叫んで。

 みんな何事だっていうことで、先生たちも大勢駆けつけてきて、僕に向かって「お前〇〇に何してん!」って問い詰めるんですよ。「僕、何もしてませんって!」って必死に言うんですけど、そいつも「もうイヤやー」って泣いてるから、全然聞く耳を持ってくれなくて。

 結局、体育館の個室にズルズルと連れて行かれて、これこれこうでと説明したら「なんや、気ぃつけろよ」って何とかわかってもらえましたけど、悪目立ちした形になって、メンタルやられまくりですよ

 なんとか試合に戻ったんですが、泣いてるやつの横にいた女子が、僕を見ながらトントンって肩を叩いて「あとで石鹸で手ぇ洗っときや」って、トドメですよ。結局、優勝は逃したし、その日はどう帰ったか記憶がないぐらいショックを受けて。子どものころは、「大人が絶対正しい」っていう思い込みがあると思うんですけど、大人って理不尽だな、おかしいやつはいるんだなって、そこで気づきました。

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