マスクを外す行動が社内で問題視

　何度注意されてもマスクを外すKさんの行動は社内でも問題とされ、さらに東原さんにLINEで繰り返し言っていた「コロナは嘘」などといったことも周囲に聞こえるような大声で発言し始めたことでKさんは社内でも煙たがられるようになっていきました。

「さすがにわざとマスクを外して大声で話すKくんに周囲が嫌悪感を抱いているのも理解できましたし、再三注意されているのに繰り返しマスクを外すというのも問題でしたよね。そんなことをしていたから、上司に呼び出されて言動について注意されてしまったんです」

　上司から自分の言動を注意されたKくんは、「俺を否定するような会社にはいられない」と、席に戻るなり無断で帰宅してしまいました。上司はこの行動にも怒りをあらわにし、社内の雰囲気はとても悪かったといいます。

問題児から敵認定されて…

　その後、Kくんはしばらく出社を拒否。連絡を取っても無視するなどが続き、最終的には自主退職という形で会社を去っていきました。その後Kさんに連絡をとった東原さんでしたが……。

「コロナを信じているやつは敵だと言われ、LINEをブロックされてしまいました。それ以降もちろん連絡は取れなくなりましたし、彼が今どうしているのか知ることもできません。ただ、この情勢の中では生きづらいだろうなぁとは思いますが、何をどう考えるのかは彼が決めることですからね」

　感染症の流行によってストレスを抱えて体調を崩してしまう人、新しい働き方に慣れることができない人もたくさんいます。しかし、「コロナは嘘」なんていう発言は非科学的で、もはや妄想の域。

　Kさんのように、もともと真面目で正義感が強い人が、妄想に取り込まれると、もっともタチの悪い事態になるものです。

＜TEXT／つる＞