500円の朝焼肉セットも登場。苦境の有名飲食店が参入する「朝ビジネス」
苦肉の策で生まれた発展途上の朝グルメ
時短要請期間中、飲食店の多くはあらゆる策を講じて生き残りを図ってきた。そんな中注目を集め始めているのが、焼き肉チェーン「焼肉ライク」(朝焼肉セット税抜き500円)や「上海麺館」(朝らーめん600円)など、営業時間を大幅に前倒しした「朝グルメ」だ。
元は「高級炉端焼き」店であった有楽町「きたぎん!」は、2020年「大衆酒場」に一新。朝8時から11時まで、500円の「朝定食」を提供している。
「2020年の休業要請中、朝食と昼食を買う人たちがコンビニに列をつくっていた。そのときから構想はありました」と語るのはパートナーズダイニング営業本部の間宮貴之氏。「ご飯・たらこはお代わり自由。お茶漬け出汁も用意しています。認知度を上げて、朝グルメ文化をつくりたい」と意欲的な表情を見せた。
「朝ディナー」を打ち出し話題のフレンチ店「sio」
2021年1月に「朝ディナー」を打ち出し話題となっているのは、代々木上原のフレンチ店「sio」だ。オーナーシェフの鳥羽周作氏は、続けて姉妹店「o/sio」でも、朝7時から「ととのえるカレー」(税込み1200円)の提供を開始。
「ルウを使わない軽い食感のおばんざいカレーです。出勤前や皇居マラソンの後に“ととのえて”いただきたい」と話す。時短解除後も「朝ディナー」の継続を決めているそうで、「これからの飲食店は先を見すえることが重要。その根底には、料理人として“人を幸せにしたい”気持ちがあるのです」と熱く語った。
同店を訪れたグルメエンターテイナーのフォーリンデブはっしー氏は「朝カレーはコロナが明けたときに丸の内サラリーマンからの需要が増えそう。今はその種まきをしている時期ですね」と述べた上で、「今はライフスタイルに合わせて食事を選べる“食の多様性”が重要視される時代。この機会をピンチと思わず、いかに前向きに仕掛けていくかがカギとなる」と見解を示した。
あらゆるジャンルの飲食店が続々と「朝ビジネス」に参入している時代。今後は食生活の選択肢がより増えるかもしれない。
<取材・文・撮影/週刊SPA!編集部>
【フォーリンデブはっしー】
グルメエンターテイナー。肉を中心に年間1000軒以上を食べ歩く。インスタとブログは外食とお取寄せグルメの分野で日本最大級のフォロワー数を誇る。