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Netflixを辞めてPaidy CMOに。6回転職したすごい女性の“挫折と情熱”

ビジネス

あらゆる行為が仕事に活かせる

ペイディ

 日本人の感覚からすると、シルビア氏の転職回数はかなり多い気もするが、本人は「職場に興味ないから転職するのではなく、自分を伸ばしたいから転職する」ときっぱり。

「いろいろな経験を持つことが、人を成長させます。そのためにも職場や仕事内容を変えることは重要だと思います。また仕事ではなく、趣味でも学びや気付きがあります。広告のプランナーだったら、クライアントのことを考えるのが仕事の基本ですが、相手が何を求めているのか探るすべを私は合気道と居合道から学びました」

 武道の呼吸は、打ち合わせや交渉の場で、会話のなかから文脈を見つけ、それを点でつなぐのに役立つという。

「合気道の呼吸をマスターすることで、仕事においても、お客さんが何を嫌がっているか、何を求めているのか。周りの微妙な変化を察知し、何をどうしたら気づくのかわかるんです。私は写真を撮るのも好きで、休みの日には『今日は幸せを撮りたい』などテーマを決めて、外に出ます。自分なりの幸せを撮るまで、自然や街の中を歩きます。それも仕事の観察力につながるのだと思います」

工夫と情熱でどんな物事も達成できる

ペイディ

 どうしたらよりよいキャリアの築くことができるのだろうか。かなりざっくりした質問だったが、若いビジネスマンに向けて、シルビア氏はこんなアドバイスをくれた。

「私はベルリンの壁がある時にハンガリーに生まれました。決して幸福な時代ではありませんでしたが、その時代は限られているリソースのなかで、どう物事を進めていくか、チームやデータが不在でも、どうやって結果を出していくかを教えてくれました。私の父親はF1がすごく好きでしたが、ハンガリー国内では放映されていなかった。もう時効ですが、父はアンテナをいじって隣国オーストリアの電波で放送を受信していました」

 そう本人は笑うが、その行動は、シルビア氏に工夫や熱意があれば、どんな物事も達成できると教えたのだ。

「理想や完璧はありえないのだから、あるものを生かして何ができるかを考えるべきです。すべての物事はビジネスに生かせるのです」

<取材・文/シルバー井荻 撮影/山田耕司>

平成生まれの編集者・ライターです。赤羽と阿佐ヶ谷に出没します。ビジネスサイトの編集長もやってました。

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