Netflixを辞めてPaidy CMOに。6回転職したすごい女性の“挫折と情熱”
社会人になるまでのキャリア
ここからはシルビア氏のキャリアについてより迫ってみたい。電通、アーンスト・アンド・ヤング(EY)、Netflix Japanを渡り歩いてきた彼女は、ハンガリーのごく普通の家庭に生まれた。外交官になるために来日。東京大学に入学する。
「幼稚園の時に折り紙で日本文化に興味を持ち、ゆくゆくはハンガリーの駐在外交官として日本で働きたいと思っていました。日本の大学を卒業したら就職に有利とも聞いていたんです。しかし、試験を受ける時になって外交官になるにはコネが必要と聞かされ、突然、将来の道が絶たれて絶望しました」
そこから彼女は外資系広告代理店の日本支社にプランナーとして入社。その後、ニューヨークにある本社に転勤する。華々しいキャリアを積んでいるようだが、挫折はなかったのか?
「私は今までエージェントからオファーを受けて転職をしていました。しかし、一度だけ自分から転職したいと思ったことがあります。東京から転勤でニューヨークに行ったとき、あまりの環境の違いでカルチャーショックになったのです。ニューヨークで成功しないと将来はないと思う一方で、早く東京に帰りたい、なぜ東京を去ってしまったのかと、毎日、後悔していました」
完成度80%で新サービスを配信した
「ただ、その後悔の日々の中で、自分が何を求めているのか、何を楽しいと感じるのかを自問自答することができました。結果として、ニューヨークで絶対成功しよう、やりがいある仕事を見つけようと転職先を探したのです。今思えば、キャリアを考えるのに必要な時間だった」と語る。
実際、投資戦略の専門家ストラテジストだったシルビア氏だが、それからロンドンに留学し、MBAを取得。ビジネス組織の作り方と経営戦略を学んだ。それは今の仕事にも当然のことながら活きている。
「Paidyには金融のプロ、そしてIT業界の出身者が多く在籍しています。サービスの核となるアイデアはしっかりしているので、あとはUX(ユーザー体験)をどう作るかでした。なので、マーケットでの位置づけやUX向上に必要なポイントをゼロから作り上げたのです。また、個々のお客さんのフィードバックを大事にしています。2020年にリリースした『3回後払いサービス』も完璧な状態ではなく、当初は80%の完成度。ユーザーから使い勝手や不満をフィードバックしてもらい、リアルな声を反映させています」