阪神・淡路大震災から26年。コロナ禍の災害に備えたい課題とは
帰宅困難によって起こるリスクとは
一方、首都圏で気がかりなのが「帰宅困難者」問題である。雪氷災害や台風の際にも、駅付近で滞留したり、電車内で長時間待機せざるえない人の姿が見受けられる。
東日本大震災では、多くの帰宅困難者が徒歩で帰路につく様子がテレビなどで報じられた。数年前から噂される「南海トラフ巨大地震」のような大規模災害が発生すれば、リモート化が進んでいるとはいえ、都市機能に大きな影響をもたらすだろう。
帰宅困難者が多数発生することのリスクとしては、電車内など密室で具合が悪くなる人が発生すること。そして徒歩での移動中に建物の崩壊などで被災する可能性もある。また、歩行者が歩道からあふれ、交通渋滞を引き起こすことは事故の危険性を高め、緊急自動車の移動に遅延が発生することも懸念される。
災害の被害を軽減する考え方
帰宅途中の企業などにおける一時避難所が満員になった結果、帰宅困難者が「たらいまわし」の状態になることも予想される。2018年に発生した北海道胆振東部地震では大規模なブラックアウトが発生し、電力が使えないことで市民生活や経済活動への被害が甚大になるケースを目の当たりにした。
市民生活でいわゆる電気・ガス・水道などインフラは欠かすことはできない。災害時には、これらが失われた場合を想定した対応が急務である。
例えば、トヨタ自動車などは自動車を非常電源の供給に利用することを推進している。屋外での避難生活にも一時的な利用が可能なので、新たな防災・減災対策として自動車を活用する選択肢ができた。もちろん非常電源などのバックアップを忘れてはならないが。
災害の発生を防ぐことはできない。しかし、その被害を軽減する、すなわち「減災」という考え方で、リスクに対して取り組む必要性がある。もちろん現在国際的に大きな影響を及ぼしている新型コロナウイルスに対してもだ。