「きっかけは妻の一言」渡辺徹がコロナ下で始めたブログを続ける理由
世の中は、わかっているようで…
「世の中って、わかっているようでわかんないじゃないですか。例えば、テレビが扱うと大衆の意見だと思っちゃいがちだけど、実際はやっぱり製作者の都合。視聴率を上げなきゃいけないとか、なんとか。そうすると、意外に偏っているかもしれない」
ブログの世界に飛び込むと、個々のいろんな意見が発信されている。「それを自由に読むことができることを知った」と、渡辺さんは語る。
「例えば以前、有名人の方がお亡くなりになった時に、俺がそれとなく想いを書いた時、勝手に書きなぐっただけだったんですけど、すごく反響があって。そういうのを受け取ると、深い、あたたかいところがちゃんと残っているっていうのを感じられる。
見てくださる数はもちろん、コメントを書き込んでくださる皆さんとか――信じられる場所ですね」
ブログの意識は「エッセイ」に近い
ブログに対する見方も変わったそうだ。もともと「日記」というイメージが強かったが、ネットに公開するブログは「エッセイ」に近いと意識が変わったという。
「自分でブログをやる前は、やっている人に対して、正直、暇なんだなぁと思っていました(笑)。そこまでして見てほしいのかという思いがなきにしもあらずだったんです。そんなことより仕事ちゃんとやればいいじゃん、とか思ってたんだけど、自分がやってみたら、ああそうじゃないんだなと。
直にいろんな人と繋がれる、直に意見がもらえるっていう意味では、いわゆるマスメディアに出ているよりも辛辣でもあるし、ホットでもあるってことはすごく感じますね」
⇛インタビュー後編<渡辺徹、安心するナレーションの裏側とは「仕事はクリエイティブ」>に続く。
<取材・文/吉河未布 撮影/内海裕之>
【渡辺徹】
茨城県出身。1980年に文学座研究所に入所。1985年、座員となる。1981年、テレビドラマ『太陽にほえろ!』でデビュー。1982年に「彼(ライバル)」で歌手デビュー。第2弾シングル「約束」はベストテン番組の第1位に躍り出る大ヒット。現在も文学座に所属し、舞台を中心に活躍しながらドラマ、映画、バラエティ、司会、ナレーション、さらに淑徳大学客員教授(2014年4月~2018年3月)、城西国際大学特任教授(2018年4月~)として教鞭をとる