インパルス堤下敦「ダメな自分に正面から向き合いたい」
2017年に2度の自動車事故で無期限謹慎処分となり、2018年に復帰したインパルスの堤下敦さん(43)。
同年12月にSHOWROOMでチャンネルを開設すると、毎日生配信を続け、2019年8月にはYouTubeチャンネルで『堤下食堂』を配信スタート、現在の登録者数は33万人を超える。その後舞台のプロデュース(2019年『愛害~12の本性~』)を手掛けるなど、芸人・俳優にとどまらない多方面での活躍を見せている。
インタビューの前編ではそんな堤下さんに、YouTube活動について聞いたが、後編では『はねるのトびら』の思い出や復帰して今、想うことをじっくり語ってもらった。
待っているだけでは何も起こらない
――2018年12月にSHOWROOM開設、2019年8月にYouTubeチャンネル開設。その後、舞台のプロデュース(2019年『愛害~12の本性~』)を手掛けました。クラウドファンディングで制作費を募ったことも大きな話題になりました。
堤下敦(以下、堤下):自分が芸歴20年以上になって、そこそこ何も言われなくなっちゃったんですよ。そこそこ、新しいことを始めなくてもいい芸歴になっちゃったんです。それって、いちばんつまんないことで。
仕事を待っているだけだったら、何も動けないじゃないですか。僕、コントもやっているから、お芝居はもともと好きなんです。小劇場にも出させていただいていて。そんな時、明らかにお芝居の若手の人たちが、芸人の若手とちょっと違ったんですね。
芸人って、売れるためにバイトして、面白かったら売れる。運ももちろんあります。そういう(一直線の)サクセスストーリーみたいなのがある。一方、役者さんって、それぞれの役者さんがお互いの舞台を観に行き合ったりしていて、なんとなくそこで回っている。ここに新しい風を入れる方法はないかなと考えたんです。
そこで自分がプロデューサーとして舞台をつくったら、刺激的なものができて、自分も得るものがあるんじゃないかって思ったんです。
お笑いをやらないということでは全然なくて、違う世界に飛び込まないと違う刺激がこない。それで裏方の仕事もしてみようと思って。だから、仕事の幅を広げるというよりも、「自分自身を刺激する」といったほうが正しいですね。
1つひとつのことに丁寧になる経験ができた
――裏方として、新しく発見したことはありましたか。
堤下:あのね、演者はとても“ワガママ”(笑)! これがいちばん、もう。いろんな人に「何時から何時までしかダメです」とか言われるから、時間の調整に駆けずり回ったり、こまごました確認で事務所の社長さんとかマネージャーさんに頭下げたり、お礼を言ったり。
資金集めもやって、これは大変だなー! と思いましたね。お金が集まるかどうかもですが、誰も怪我しないかなとか、演者が病気にならないかなとか、初日幕開けるの、すごく怖かったです。
でも、そういった裏の仕事をやってみることで、自分自身が1つひとつのことに丁寧になる、いい経験ができたなと思っています。