ラジオに人生を救われた、若き女性起業家が目指す「話せば食べていける世界」
オープンな場での決意表明が功を奏す
「どんなに焦っても自身を支える上で有効だったのは、まずは周囲に向けて決意表明していたこと。しかも私の場合はそれが音声で配信されているので何度でも聴けるし、聴かれてしまう(笑)。
事業を進めるにあたって、思い通りにいかないことや、ファクトと感情を切り離して考えられなくなること、過去のたらればを追いたくなることなど山ほどありました。それでも事業の心配は、事業で解決するしかない。実行し続けるしかない。その後押ししたのが、周囲に向けて想いを宣言したことだったかもしれません。
私はこの事業をやめようと思ったことはありません。が、社内ベンチャーとして立ち上げたときの気持ちが、たとえば『会社のために一役買う』くらいに成功の枠を小さく限定したモチベーションだったら、多少の風向きだけで事業の撤退を考えたり、競合が参入してきた程度で諦めてしまったかもしれない。
事業を立ち上げる意志が明確になったら、手が届く目標の上限枠をはずした形で決意を宣言して、宣言をリマインドすることで追いかけられるかなと思います」
事業拡大へのロードマップが着々と進む
3億円の資金調達が発表されてからおよそ1か月。会社にはさまざまな変化があったそうだ。
「さまざまな媒体にも掲載していただきましたし、特に日経さんには1か月で4回掲載され、『日経トレンディ』のヒット予測2021にも“個人ラジオSNS”を入れていただきました。
業界へのアピールもできたように思います。そして何より一番良かったのは、素晴らしいメンバーに会社のことを知っていただけたこと。おかげさまで優秀なメンバーを迎え入れることができ、組織を拡大する準備が整いました。
これまでの成果と実績だけでなく、新しい市場を自分たちで拓くという挑戦を楽しめる方と働きたいです。ラジオトークが目指すのは、音声を通じて『個の熱狂経済圏』を構築すること。
個人が独自の言葉で配信できて、そこに共感する熱狂的なファンが投資して、“トーカー”がますますクリエイティブな配信に精を出す。言葉の表現という意味で共通する『テキスト』から文学や出版が生まれたけれど、これからは『音声』が文化として認められて経済圏の生まれる世界を創りたい。まず2021年は、これまでは埋もれていた新たな『トーク力のスター』を発掘して、話せば食べていける状態にしていきます。私の想いに共感していただける方は、お声がけしてほしいです」
<取材・文・撮影/白鳥純一>