コロナ禍で、美川憲一が若者に伝えたいエール「あなた一人じゃないのよ」
落ち込んだとき、自分を回復させるには
――落ち込んだ時、どのように、自分を“回復”させていますか。
美川:なにか悩みを抱えたまま寝ると、全然眠れなくなるじゃない? だから、「悩んでてもどうせ解決しないんだから」って自分に言い聞かせるのよ。ちゃんとしっかり寝て、「また明日考えればいいことだし」って、自分で切り替えるように、切り替えるようにする癖をつけるとラクになるのよ。
簡単に言うけど、そんなにすぐ切り替えられないわよっていう人もいるかもしれない。でも、それでも、諦めずに、少しでもいいから前向きな気持ちを忘れないでいること。そうすると、だんだん体にしみついてきて、うまく切り替えられるようになってくるのよ。
もちろん、言い聞かせても楽になるわけじゃないわね。でも、努力しなけりゃ運もついてこないのよ。運っていうものは、それぞれがもともと持っている運もあるでしょうけど、待ってても来ないと思う。
つらいことがあった時って、後になって思い出としてすごい蘇ってくるのは、そのつらさなのよね。でもその時に努力すれば「あのとき頑張ったから……」って、必ず思えるのよ。
出会いも運をつかむということだし、人脈とかそこから導いてもらうこともある。いい時にはいい出会いがあるけど、悪い時には悪い出会いもあるのよ。一歩間違えばどん底に堕ちていく。逆に、生活が始まるっていうことだってある。それも出会いなのよ。
「けっこうセコく遊んでるのよ~」
美川:今はなかなか外に出られない時期だけど、もう少し落ち着いたらいろんな人とのいい出会いを求めてね、行動的になるのも大事なことだと思うの。趣味であってもスポーツであっても、お友達とご飯を食べて喋るだけでもいいし。気分転換って大事よ~。
私ね、コロナになる前、365日、お休みの日があっても1日中家にいたことないのよ。ウィンドウショッピングに行ったりとか、けっこうセコく遊んでるのよ~(笑)。
この前、街を歩いていたら、すっごい好きな犬を連れている女性がいたのよ。「かわいいー!」って、その犬と写真を撮らせていただいて、すごいほっこりして。
そういう、「かわいい」とか「いい」とか、綺麗なものに触れて、その気持ちを言葉に出して言うっていうことはね、あとでいいエネルギーが来るのよね。ちょっとしたことなのよ。少し外へ行って、「かわいい」とか「素敵」とか、ウィンドウショッピング行ってこの色彩いいわ、とかね。心の豊かさがなきゃ、貧相だと妬みなんかも出てくるでしょ。エネルギーってね、自分が生み出さなきゃ。それは、自分の気持ちの持ちようも大事なのよ~。
──最近は少しずつ歌うことも再開されています。
美川:ディナーショーは決まりましたけど、毎年やっていた10月のシャンソンコンサートは中止になって。残念だけれど、それでなくなるわけじゃないんだから、また来年に向かって、ね。だってしょうがないじゃない、今こういう時期なんだから。口に出すのよ、「しょうがない」って。そうすると、割とラクになるわよ~。しょうがないのよ、自分だけじゃないのよ。
でもね、コンサートなどで涙してる皆さんを見ると、やっぱりストレスも溜まっているんだなあって。「美川さんの歌で元気をいただきました」って、そういうお声いっぱいいただいて本当に良かったなあって。皆さんからそうやって励ましの言葉をもらうと、またエネルギーが沸くわ。