コロナ禍で、美川憲一が若者に伝えたいエール「あなた一人じゃないのよ」
2019年からインスタ、今年からはブログを始めた歌手・美川憲一さん(74)。〈ちょっと疲れたなって思ったときは 立ち止まって美味しいものでも食べなさい~〉など、まるで美川さんに話しけられているように、少し心を軽くしてくれる言葉が紡がれたそのブログが、若い世代に〈元気をもらえる〉と反響を呼んでいます。
ブログでは、美川さんの「好き!」が詰まったファッションのほか、食べたいと思ったら連続でパフェを食べに行き、先日は大戸屋デビューしたと思ったら、どハマリする姿も……。
前回のインタビューでは2人の母に育てられ、スランプから復活し……波乱万丈な美川さんの人生を聞きました。そこから“堕ちた”時に思っていたこと、そして、自分を“回復”させる方法とは――。ブログタイトルにもつけた「しぶとく生きる」というメッセージに込められた想いについて、お話をうかがいました。
「もう一人の自分」が、自分に“言い聞かせる”
──スランプの時(インタビュー前編参照)にも、意識していたことはありますか。
美川憲一(以下、美川):やっぱりキレイでいなきゃいけないなと。黄昏れて見えたら、なんとなく、ああやっぱり売れない歌手だとか、可哀相ねってなるでしょ。そう思われないように、どんな苦しくても胸を張っていようって。「晒し者だから見てちょうだい!」っていうところから再スタートだったから、強いのよねえ……。
だから、私、引きこもっていても、これは自分自身の勉強の場なんだわって。これを乗り越えたらまたいいこともあるんだからって、自分に言い聞かせて。頭のそばに“もう一人の自分”がいるのよ。それが一生懸命ね、口に出して「なにやってんのよアンタ、もたもたしてんじゃないよ」って。もう一人の自分として、自分に言い聞かせるの。
この世の中、みんな寂しいし、つらいですよ。みんな不安は抱えてるんですもの。私だってこうやって強く言ってても、一人になったとき「いつまで芸能界でやっていけるのかしら」なんて思うじゃない。
でもそういう時、先のことを考えるより、今の自分の状態をしっかり受け止めて、「いいえ私は大丈夫よ」ってもう一人の自分が言い聞かせる。そう、言い聞かせるってことは大事なのよねえ。言葉ってすごく大切なの。
「強いわね」って言われるけど、強くないの
美川:落ち込んだときに回復させるのってさ、恋人がいるから恋人、親がいるから親っていうわけじゃないのよね。私の場合も、親じゃなくて、もう一人の自分だった。
もう一人の自分が「じゃあ、あなた何を努力してんの?」って。「それをはねのけていくには、あなた何か考えてることある?」って自分に聞くのよ。みんなに「美川さんは強いわね」って言われるけど、強くないのよ~。強く見せてるだけなの。もう一人の自分が「強く見せなさい」って言うから、そうしてることであって。