人を動かす最強の武器は“オタク特有の早口”である
「面白さ」は時に「正しさ」を凌駕する
先述の失敗にはいくつか要因があるのですが、どれかひとつを上げるとすると「気持ちがノッていなかったこと」にあります。
集めたファクトや分析の切り口、要因分析や最終的な打ち手、それぞれについて「正しく」はまとめられたかもしれませんが、「面白く」はなかったのです。自分自身が「これ、そんなに面白くないな」と思いながら語っていたとすると、もちろん周りの人も「正しいかもしれないけど、つまらんな」となってしまいます。
仕事だろうがプライベートだろうが、「面白さ」をついつい求めてしまうのは人間の習性です。「面白さ」が「正しさ」を凌駕して評価されることは、まったく珍しくありません。しかし、失敗を必要以上に怖がるぼくたちは、どうしても「正しいかどうか」が先に来てしまい、「面白いか?」という観点を見落としがちです。結果として、「正しいけど面白くないアウトプット」ができてしまうのです。
もちろん、仕事においてデータやロジックの正確さは必要です。しかし、それだけでは人を動かし、具体的なアウトプットに繋げることはできません。正しさは大事ですが、そのうえで「面白さ」が必要になってくるのです。
「気持ちがノッてるかどうか」は速度で分かる
では、その「面白さ」を感じているかどうかは、どう判断すればいいのでしょうか。ぼくは、現在の仕事について語るとき「オタク特有の早口」になれるかどうか、がポイントだと思っています。アニメや漫画、スポーツなどなんでもいいですが、自分が好きなトピックについては、誰しも早口で大量の情報をアウトプットすることができます。
単純に早口になるだけではなく、上ずった声で息が詰まりそうになることもあるでしょう。そこまでそのトピックについて面白さを感じられているかどうか、それが仕事の成否を決める重要なポイントのように思うのです。逆に、いくら正しくても感情が動かず、淡々と話す以外にない場合、そこには「面白さ」が宿っていないと言えます。
周りを見渡しても、本当の意味で「面白さ」を感じながら仕事をしている人は少ないです。逆に言えば、これを感じながら仕事ができれば、周りの人とは一味も二味も違うアウトプットが出せるようになるでしょう。何より、仕事が趣味と同じレベルで楽しくなり、ヘンなことを考えず目の前のことに集中できるメリットもあります。
あなたは、「オタク特有の早口」で自分の仕事について語れるでしょうか? ぜひ、自問自答してみてください。
<TEXT/戦略コンサルタント Shin>