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三浦春馬さん遺作『カネ恋』が描く、20代のお金と恋愛。生活は質素だが“推し”には散財

暮らし

経費をごまかしてお金を貯める

横領

※イメージです(以下同じ)

 第1話ではその玲子と慶太の出会いとともに、慶太の後輩社員である営業部・板垣純(北村匠海)の「お金の悩み」が暴かれていった。

 板垣は25歳の営業マンで、その若さで部署を背負って立つエース社員という役柄。順風満帆なように見えるが、徐々に明らかになっていくのが、彼がすごくお金に困っているということだ。

 京都への出張として新幹線を手配しながらそのチケットは金券ショップに売りさばき、実際は格安の深夜バスで移動。家から会社までの定期券代も、実は定期券は買っておらず友だちの家や会社に泊まって会社から支給されるお金をちまちまと横領していた。

「普通にお金がない」若者の実態を反映

「なぜそんなことを……」と失望する慶太に、板垣はこう言ってみせる。

「普通に親の商売がうまくいってなくて、普通に奨学金の返済が200万近くあって、普通に弟や妹がまだ小さいだけで。それだけで毎日、胃が痛いほどお金のことばっかり考えて……」

「お金がなくて死にそうだ」とまでは言えないけど、実際はほぼそれに近く、誰も助けてくれる人がいない状態。この“ゆるやかな貧困”は、いまの若者の実態を突いているかもしれない。“普通に”、お金がないのだ

 上司に飲みに誘われたのにオゴりじゃなかった。お酒を飲めないのに場のノリで飲み放題を頼むことになってしまう……。そういうお金にまつわるリアルなイライラも本作では描かれており、お金がないということがどれだけ人の心を締め付けるのかを改めて考えさせられるドラマになっている。

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