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慶応卒芸人たかまつななが明かす「NHKを2年半で退職」の真意

学び

政治的発言への批判「受け止めきれない」

――一方で、SNS上での政治的な発言については、とりわけ他の話題と比べても批判が強い印象もあります。実際、自分に来たコメントについてはどのように向き合っていますか?

たかまつ:正直、受け止めきれません。かなり辛らつなコメントもあり、最近でも木村花さんの件がありましたが、自分のことのように思っていました。意見が対立するような場合でも、昔はTwitterへのメンションやYouTubeのコメント欄にはきちんと返して議論をするのが大切だと考えていましたが、今はもうほとんどやらなくなりました。

 ただ、YouTubeはTwitterよりも関連するコメントを視聴者の方々が見やすい印象もあり、共感してくれる視聴者の方に不快な思いをしてほしくないので、あからさまに攻撃的な発言についてはブロックなどで対応しています。

――そのせいか、政治的な発言については控える傾向もあるかと思いいますが、なぜそのような風潮があると思いますか?

たかまつ:世の中にある“所属で人を判断すること”がひとつの原因だと思っています。NHKで働いていたときも私の発言は本来、所属している組織と関係がないはずなのに「NHKに電話しておきました」とメンションが来たこともあり、そうなるとこちらの立場も弱くなるし、やりづらさを感じていました。

 ましてや本名でつぶやくと批判が来るリスクも高まり、それならば発信しないほうがいいと思うのは当然ですよね。きゃりーぱみゅぱみゅさんがハッシュタグ「#検察庁法改正案に抗議します」をツイートし、バッシングを受けて削除した例もありましたが、そういったことがあると政治的な発言がより一層萎縮するのではないかと懸念しています。

動画には先輩芸人をゲストに招くことも

――たかまつさん自身は政治や社会問題についての情報発信を積極的に行っていますが、その背景には「他の人にも発言しやすい環境を」という思いもありますか?

たかまつ:YouTubeにはまさにその思いを込めていますが、少しずつ発言できるテーマの間口を広げようとはしています。先輩のお笑い芸人・EXITさんをゲストにお呼びして、育児や介護、教育格差の話をしたり、さまざまな見識を持つ方の力も借りつつ、ネットからいずれはテレビへと派生して、できる限りタブーを作らずに発信できるよう広げていきたいと思っています。

――YouTubeのコンテンツは「社会問題解決型番組」と謳っていますが、どのような意味を込めているのでしょうか?

たかまつ:既存メディアに対するある種のカウンター的な位置付けとして、単純に「世の中にこういう問題がある」と現象を伝えるだけではなく、その解決策までを提案できる番組にするというのを意識しています。

 例えば、望まぬ妊娠で苦しむ若い女の子がいるという問題に対して、AV男優のしみけんさんを招いてコンドームの付け方を教えてもらうといった動画を作ったのですが、世の中の課題に対して視聴者が行動へ移せるようなコンテンツを目指しています。

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