慶応卒芸人たかまつななが明かす「NHKを2年半で退職」の真意
かえって危機感が募っている
――どのような取り組みをしているのでしょうか?
たかまつ:「若者と政治を繋ぐ」をモットーに、コロナ禍の影響が出始める前は全国の学校で政治や社会問題を身近に捉えてもらうための出張授業などを手がけていました。
現在は、オンラインへ切り替えながら、それ以外では、SDGs(持続可能な開発目標)を啓発するための教材づくりなどにも取り組んでいて、9月には著書『お笑い芸人と学ぶ13歳からのSDGs』も発売されます。
18歳選挙権が導入された当時は同じような取り組みを行っている団体も目立ちましたが、今ではだいぶ少なくなってしまいました。出張授業などを手がける競合他社が減ってしまったぶん、かえって危機感が募っています。
都知事選は「最悪でした…」
――たかまつさん自身も政治への関心をSNSなどで積極的に発信していますが、例えば、2020年の都知事選についてはどうみていますか?
たかまつ:本音としては最悪でした。小池百合子都知事が当選してから今回の選挙までの実績の検証が十分に行われないまま、コロナ禍の影響で選挙報道自体も少なかった印象です。
私もできる限りの情報発信をしていたつもりですが、世間の関心が低い状況では単なる人気投票になりかねないし、イメージだけで私たちを煽るポピュリズムにより傾いてしまうかもしれないと危機感も抱いていました。
――選挙報道という言葉が出ましたが、どのような問題があったと思いますか?
たかまつ:テレビでいえば、2016年の都知事選では小池都知事や元・岩手県知事の増田寛也さん、ジャーナリストの鳥越俊太郎さんが筆頭候補に挙げられて「三つ巴の戦い」のように伝えられていましたが、今回はそれがなかった。
さらに、コロナ禍で街頭演説が十分に行われなかったこともあり、絵的にも関心度的にも数字が取れないという判断から、メディアも及び腰になっていたと分析しています。
――選挙となると候補者をどう見極めればよいかという課題もありますが、たかまつさんが思うポイントはありますか?
たかまつ:どの選挙であっても、まずは現職者の実績を検証するのが先決だと思います。今回の都知事選では小池都知事の実績について専門紙『都政新報』が丁寧に伝えていた印象を受けましたが、自分からも情報を集めて、評価してダメだと思うのであれば二番手、その次と候補を絞っていく。
もしくは、候補者が「ウソをつかない人なのか」など人格も考慮しながら、自分の問題意識に沿った人に決めるのも選択肢だと思います。