「母にも暴力を…」息子が家業を継いだら、父親の態度がなぜか豹変
怪しいお金の動きが見つかった
「税理士に『怪しいお金の動きがある』と指摘されたんです。さらに調べを進めてもらってわかったのは、かつて従業員だったある人物の元に、相当な額のお金が流れていることがわかったんです。つまりは横領です」
その人物というのは、社長である父の腹心で、創業時から働いていたAさんでした。
「たんに従業員というだけではなく、言うなれば父の戦友という感じの人です。家族ぐるみで付き合いもあります。小さい頃から自分のことも可愛がってくれていました。とても穏やかで真面目な人なので、『まさかあの人が!』と心底驚きましたよ」
横領していたAさんが、そのお金を何に使っていたのかも大方の予想がついたそうです。
「母から、Aさんがマンションを買ったという話を聞いたことがありました。聞いた当時は、資金の出所なんて全く考えませんでしたが、うちから横領した金を使ったんだと思いました」
報告したら、父親は予想外の反応
後藤さんはすぐに社長である父に報告することにします。
「裁判を起こして金を取り返せば、新たな商品を開発する資金にもなります。長年の戦友ともいうべき人物の裏切りでしたから、どんな反応をするか、正直怖い部分もあったんですが……」
父親から返ってきたのは、予想外の反応でした。
「父は『ああ』と生返事を繰り返すばかりで、怒りもしないし、悲しみもしない。話していても手応えがなくて、妙な感じでした。どうするか判断を仰いだんですが、返ってきたのは驚きの言葉でした。『放っておけ」と言うんです」