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「料理の鉄人」が最初のお客様。50代で“奇跡”の農家デビューした4代目

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――記念すべき最初のお客さんは誰だったのですか?

森藤:実は、料理人として有名な道場六三郎さんだったんですよね。

――え! それは意外な方ですね。

森藤:僕が銀座の「久兵衛」さんに営業をしていたら、たまたま運がよく知り合えたんです。先方からサンプルを送ってほしいとご依頼をもらったので、すぐにサンプルを送って食べてもらいました。

 そこからは、いろんなところに営業しましたね。知り合いの社長だったり、そのまた知人のカレー屋さんに紹介してもらったりしました。そのカレー屋の社長には「美味しい炊き方はありますか?」って聞かれたので、カレーに合う食感のお米になる水分量やお米の研ぎ方を教えましたね。

もりとう農園

終始にこやかな顔で、取材に応じてくださる森藤さん

――最後に、今後の展望を聞かせていただけますでしょうか。

森藤:僕たちが育てたものを直接提供するからには、「味は2の次」とか言う人や、その人の人間性が合わないところには卸しません。消費者を馬鹿にするようなことは言うのは御法度です。食べてもらって初めて意味があると思っています。

――ありがとうございました!

 行政出身で、ご実家の農家を継がれ10年の歳月をかけ、大幅な成長を遂げた「もりとう農園」。真っ暗闇の中でも、お客さんの口に入るまでが自分たちのサービスという矜持を持ち、自ら道を切り開く姿はとても勇ましく見えた。

<取材・文・撮影/船方 翔馬>

1990年生まれ、ミレニアル世代ライター。ルポルタージュ、ドキュメンタリー好き。Twitterは@Syoma_F

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