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「僕が野村証券を4年で辞めた3つの理由」31歳YouTuberの思考

学び

離れて気づいた「やめる力」の重要性

――新しい時代の生き方、働き方についても情報を発信されています。令和の時代に求められるものはなんなのでしょう?

宋:“やめる力”が重要になってくると思います。もともと私は早稲田大学の野球部、野村證券という「根性を美徳」とする、侍のような組織に所属して、生きてきました。

 環境によってある種、洗脳されていたといってもいいかもしれません。私も、早稲田野球部時代は部を去る人間を「ダサいな」と思っていました。野村證券時代もやめる人間に「どこにいっても何をやってもダメだ」と、周囲が言うのを、その通りだと思っていた。

――そこからなぜ「やめる力」が重要だと?

宋:個人事業主になってから、何をやってもいい状態になり、道が開けました。大企業のガチガチのサラリーマンから、それこそライターさんのような個人事業主までさまざまな人に会うようになって、耐える力が全てではないと気が付いたんです。

 一緒に仕事をしている保険営業マンの仲間にも、ストレスのかかる環境でもなければ、特にすごい努力をしている、根性があるというわけでもないのに、年収2500万、3000万円近く稼ぐ人がいる。例えば、アプリケーションやウェブサイトを作り、売却して2億を稼ぐような人間もいる。そういった存在を個人事業主になって、初めて知りました。そこで根性、耐えることが正義だといっていた自分は何なのかと思ったわけです。

はみ出すキャパシティのある人間が勝つ

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――耐える力、やめる力どちらがより大事になってくるのでしょうか?

宋:もちろん両方大事です。ただ、世の中の流れとして、厳しい環境で、滝に打たれてもそこにずっととどまる、こういったありかたは成果になりづらくなってきている、もっと何でもありになってきている。

 そのなかで、自分はこんなにストレスのある環境で働いているから大丈夫だとか、根性を至上とする価値観に甘んじているのではなく、変化に対応し、置かれた環境からはみ出すキャパシティのある人間が勝つ時代になるだろうと思います。

――これからの働き方に悩む人に必要な心構えを教えてください。

宋:自分の能力やスキルだったり、勉強して資格を取ることはもちろん大事です。ただ、僕は何よりも「人間」が大事だと思っています。他人から信頼を得ている人というのは、極端な話、スキルも資格も何もなかったとしても、強い。

 ただこれは人脈という言葉に置き換えられるような、例えば「フェイスブックの友達が5000人いるから大丈夫」というドライな考え方ではだめなんです。こんなものはどうでもよくて、自分が苦しい時にお金を出してくれるやつが何人いるのか。本当に困った時に「こいつなら助けてくれる」と思える人間が何人いるのか。よりウェットな考え方ができる人間のほうが強くなっていくと思います。

<取材・文・撮影/小林たかし>

【宋世羅】
早稲田大学野球部を卒業後、野村證券に入社。4年間の営業マン勤務を経て、現在は生命保険営業マンとして働く。Youtube「宋世羅の羅針盤ちゃんねる」にて保険、株、投資信託、貯金、営業などを、現役のプロとして発信。登録者数は8万人超(2020年7月時点)

フリーランスのライター、主にweb媒体を中心に様々な分野で執筆を手掛ける。守備範囲は広いがとりわけ、変なもの、ことに関する興味が強い。最近の目標はヘビトンボを食べてみること。

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