デジタルベースでのシステム再編が必須に

　この異常事態を前に「正社員すら安穏とはしていられない」と語るのは、作家の橘玲氏。

「たとえ今回のコロナ禍が予測より早期に収束したとしても、新たな感染症が広がったときに同じことを繰り返すわけにはいきません。これから世界中がウイルスに強い社会へと急速に変わっていくでしょう。日本だけ例外というわけにはいかず、デジタルベースでのシステム再編は必須になる。

　新たな国際競争が始まるなか、岩盤規制で守られ、『ハンコを押すためだけに満員電車で出社』するようなシステムに固執することが許されるわけがありません。

　日本企業でも生産性が何よりも問われるようになり、解雇のルールも変えざるを得ないでしょう。私は長年、専門性のある人ほど組織に属さないフリーエージェントな生き方、働き方を選ぶべきだと提言してきましたが、もはやそうした人でなければ生き残れない社会が到来すると思います」

橘玲氏

激変する労働市場に人的資本を最適化させよ

　リモートワークをはじめとするデジタル環境への対応、スキルアップは必須だが、橘氏は何よりも「身軽であることが重要」と説く。

「今は内部留保のある大企業勤務、公務員が勝ち組とされていますが、長期的に考えれば、ローンを抱えた正社員はボーナスを減らされてしまうだけで生活が立ち行かなくなる人も出てくる。だからこそフットワーク軽く、変化の激しい社会に人的資本を最適化させる必要があるのです」

■ 橘氏のコロナ後の予想：日本の労働市場に大寒波がやってくる！

厚労省が発表した3月の有効求人倍率は1.39倍。3か月連続で下がり、3年半ぶりに1.4倍を割った。観光業などの解雇、雇い止めが影響している。また、完全失業率は2.5%で完全失業者は172万人。2月から6万人増加した