「働いてないのにうつになりそう」新社会人が研修延期になってボヤく訳
テレビも、PCもないホテルに缶詰め
「入社式もなくなり、次の日からどうなることやらと思っていたら緊急事態宣言が出て……。結局数百名の新卒が集まって研修を行うことも、集団感染の恐れがあるため難しかったんでしょうね、研修は始まりませんでした。
すぐにオンライン研修に切り替わるのかなとも思っていましたが、そんなノウハウもマニュアルもないようで、ずっとただただホテルに缶詰で生殺し状態でした。せめて実家などから通えていれば、ストレスもそんなになかったのかもしれませんが……。ホテルでは朝食しか出ないので、ごはんは買い食いしないといけないですし」
ホテルと言っても「部屋にはベッドのみ」という感じのビジネスホテルなので、テレビもPCもない殺風景な間取り。研修ではPCを貸してもらえるということだったので、持ってこなかったのも失敗だったのかもしれません。
「スマホでひたすらYouTubeやサブスクで映画を見ることしかできず。せっかく東京にいるけど、やっていないお店も多いし、観光という雰囲気でもありませんよね」
働いてもいないのにうつになりそう
「コミュ力のある人たちは、ホテルのロビーに集まって喋ったり、誰かの部屋で飲んだりしているみたいですが、僕はそういうタイプでもないので。こう何にもやることがないと、本当にしんどいですね。働いてもいないのにうつになりそうでした」
結局1か月近くホテルに缶詰になった後、とりあえず配属先の四日市に移動させられたという田中さん。さらに1週間ほど待機を余儀なくされ、その後やっとオンラインでの研修が始まったそうです。
「いまだに同じ職場で働く同期や先輩たちとは会ったことがない状態です。内定切りされなかっただけまだマシですけど、顔を合わせることがないと、気軽にコミュニケーションをとるのもひと苦労です。福利厚生など会社の制度について質問することもままならず、ただただ不安な毎日です」
今年はいつまでこの自粛ムードが続くのか、まだ先が読めません。2020年卒にとっては受難の年となりそうです。
― 特集 新型コロナ・若者の憂鬱 ―
<TEXT/ミクニシオリ イラスト/パウロタスク(@paultaskart)>