コロナ前からリモートワーク歴2年の達人に聞く、つまづきポイント
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、4月7日には安倍晋三首相が「緊急事態宣言」を発令した。これにより、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県では、5月6日まで各自治体首長の要請のもと、住民の外出自粛や飲食店の営業休止といった措置が取られる。
若手ビジネスマンのなかには初めてリモートワーク(在宅ワーク)に取り組む人も多いだろう。リモートワークは、働く場所の自由度が増す半面、オンラインでのやり取りが中心になり、自分の意志がうまく伝わらない難しさもある。
遠隔地で気持ちよく働くために、何を意識し、どのように問題解決をすればいいのか。著書『《働きやすさ》を考える メディアが自ら実践する 「未来のチーム」の作り方』(藤村能光、扶桑社)より、「オンラインコミュニケーション」について綴った部分を紹介する。
本稿の執筆者である竹内義晴氏は、「働きやすさ」を考えるメディア「サイボウズ式」編集部員であり、新潟県でNPO法人を運営しながらサイボウズで複業をしている。まさに実践者の目線で綴った、リモートワークのポイントとは――(以下、同書より引用)。
2年間のリモートワークで気づいたこと
私のサイボウズでの働き方の特徴は、「地方在住で週2日複業」「フルリモートワーク」である。月に1回、東京のオフィスに出社する以外は、新潟での在宅勤務が中心だ。この働き方ができるのは、クラウド上のグループウェアやテレビ会議システム、チャットなど、オンラインツールの恩恵によるところが大きい。
だが、オンラインツールは働き方を自由にする一方で、対面によるコミュニケーションの量が減るとともに、独特の難しさもある。
しかし、先日、複業&リモートワークを始めてからの約2年間を振り返ったとき、改めて気づいたのだが、私はこの2年間、会社に電話をしたことが一度もなかった。すべてがオンラインコミュニケーションだった。それにもかかわらず、仕事はちゃんと回っていた。これには自分でも驚いた。
また、フルリモートで働くからこその、「オンラインコミュニケーションの可能性」も見えてきた。そこで、オンラインコミュニケーションを円滑にし、気持ちよく働くために意識していることや、工夫していることを紹介したい。
オンラインコミュニケーションの難しさ
最初に、オンラインコミュニケーションの難しさについてまとめておきたい。
● 意図せぬ誤解が生じやすい
オンラインコミュニケーションは文字でのやりとりが中心になる。顔の表情や声のトーン、身振り手振りといった非言語情報がないため、対面コミュニケーションに比べると情報量が圧倒的に少なくなる。
そのため、直接話せば大したことではないのに、「○○さんのひと言で傷ついた」「そんなつもりじゃなかったのに」というように、意図せぬ誤解が生じやすい。
● 冷たい印象で伝わりやすい
仕事をしていると、「Aさん、そういう言動は混乱を招くので、○○にしたほうがいいと思いますよ」のように、相手に改善を求めるシーンがよくある。
だが、非言語情報のない文字コミュニケーションでは、言葉の意味をそのまま受け取るしかないため、否定的、断定的な表現は、対面コミュニケーションよりも冷たい印象で伝わることがある。
私自身、仕事にかかわらずオンラインでやりとりすることがとても多いが、「もう少し、こういうふうに言ってもらえると、変に傷つかなくて済むのにな」と思った経験が幾度となくある。