25歳男子、憧れていた「神主のお仕事」は超激務。最もツラかったのは…
装束まで自己負担だった
長時間労働に加えて、プライベートも束縛が強かったと康介さんは語ります。
「休日は、不定期で月に6日。位の高い人は自分の休みたいときに休めましたが、新人には選択権はなく、連休もありません。また、休日でも繁忙期や何か問題があったら呼ばれるので、先輩からはあまり神社から離れないようにと言われ、心が休まる暇もありませんでした」
その他、経費面でもトラブルがあったそう。
「神主が着る装束など、備品のほとんどは自費負担でした。靴や作務衣、作業時のゴム手袋に至るまで、1年で10万円以上は出費がありました。
さらに、労災が下りない事案もあり、宿直中に榊の剪定(せんてい)をしていたら、眠さと疲労で誤って指先を切ってしまったんです。出血も多かったものの、夜だったので人が呼べず、朝まで堪えてから病院に行きました。それでも病院代が自腹だったのは、納得が行きませんでしたね」
社宅と先輩のエピソード
「そして、僕が辞める決定打となったのは、同じ社宅に住む先輩からのパワハラでした。そもそも性格がとにかく合わない上、過干渉で……。入居した時から、引越し荷物が多すぎるだの、身なりがなっていないだの怒られました。
事件が起こったのは、3月に行われる退職職員の送迎会の準備にて。例年、若い職員が一発芸を披露する習わしでしたが、仲の良い先輩から今年は必要ないと言われていました。しかし、会の前日に同居の先輩から、準備していないことをこっぴどく叱られたんです。人格を否定するようなことまで言われ、パニックを起こし、必要な荷物だけ持って逃げ出しました。
先輩から謝罪の言葉があれば、神主の仕事を今でも続けていたと思いますが、ついには叶いませんでした。社労士を通して、先輩に謝罪を要求しましたが、面会は拒絶され続けたのです。
辞めるにあたって、せめてもと思い、弁護士を立てて残業代の要求し、受け取ってから退職。約3か月にわたるイザコザの間は、傷病手当と雇用保険で過ごしました」