同僚の前で「部下を叱ったら」パワハラ?最新ハラスメントの境界線
・障害ハラ
……障害者に対して精神的・肉体的な苦痛を与える、職場や就業環境を悪化させる行為。障害の揶揄、嘲笑や、健常者の社員と同等の仕事をしているにもかかわらず、合理的な理由もなく何十年も昇給・昇格がないなど。
・ネトハラ
……インターネット上の中傷や嫌がらせ。インターネットの特性上、匿名による中傷なども多く、書き込んだ本人に悪気がなかったとしても、真偽不明のフェイクニュースを流布して特定の相手を傷つけてしまうことも。
※『セクハラの境界線』、および「♯WeToo Japan」サイトを参照して作成
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注意していても、別のハラスメントにあたる可能性が高く、白河氏は「意識を変えていくしかない」と訴える。
「そもそも職場でリラックスしすぎている人が多いのでは。社内での出来事は聞かれているし、チェックされていると考えるべき。真面目に将来を考えるなら、気を引き締めて業務にあたるべきです」
女性活躍・ハラスメント規制法が施行される今こそ、ハラスメントへの認識や理解を改めるときだ。
あなたの言動はハラスメントかも?
ここで、ハラスメントの事例を紹介しよう。下の事例に行くほど悪質になる。
事例1 20代男性)入社式の日、社長に「お前ら、20代のうちは休日に遊ぼうなんて考えるなよ」と言われた。
→社長の発言内容は厳しいが、笹山氏は「入社式で1回言っただけなら問題ありません」と判断するも、「実際に有給休暇の取得を拒否すると問題になる」とも。
事例2 30代男性)子供の話の流れから、「2人目はつくらないの?」と聞かれることが多い。妻が妊娠しにくい体質なので、答えるのが億劫。
→笹山氏は「言われる側は非常に嫌な問題」と指摘。「家族のプライバシーにも関わるので、毎日言われる話題ではないにしろ、2、3回続いたらアウトだと思います」
事例3 30代男性)歌が苦手で、乗り気ではないカラオケに参加。1曲歌うも、先輩に「声が小さい、聞こえない」と煽られた。
→「歌をどんなふうに歌うか、声が大きい、小さいは歌う人の自由。声が小さいと言うのはかなり悪質」と笹山氏。「嫌なことの強要は、1回でもよくないですね」
【完全にアウト!な事例】
→パワハラもセクハラも体に触れるとNGだ。「明確にアウトなのはどちらも手が出たとき」とは白河氏。「当然ながら傷害や暴行にあたりますし、たとえ相手が笑顔であっても触れるのはセクハラです」
【白河桃子氏】
少子化ジャーナリスト。相模女子大学客員教授。有識者議員として、内閣官房「働き方改革実現会議」に参加。『ハラスメントの境界線 セクハラ・パワハラに戸惑う男たち』(中公新書ラクレ)を執筆
【笹山尚人氏】
弁護士。2000年の弁護士登録以来、青年労働や非正規雇用労働者の権利問題などを中心に扱い活動。『それ、パワハラです 何がアウトで、何がセーフか』(光文社新書)などの自著を通して労働問題を伝えている
<取材・文/黒田知道>