始発から終電まで「テレアポ営業」。ノルマ重視なブラック企業の実態
転職アドバイザーの指示に従ってみたら…
過酷な電話営業を勝ち抜いてきた先輩なら、答えを知っているだろうというアドバイスに賛同した宮さん。
「1日10件も契約を取っている3歳上の営業部の先輩に、テレアポのテクニックを教えてもらいました。興味がない相手の見分け方と、ちょっとでも興味のある相手に食らいつく方法です。テレアポをしていると、やたらしゃべる人がいるんですが、『暇だからおしゃべりをしたい』という人と、本気で相談している人がいるんです。マンツーマン指導で、その見分け方を教えてもらいました」
その後、先輩から伝授された方法で、宮さんは一時下位グループを脱出します。それなりのインセンティブ報酬も受け取りました。そして、宮さんは「この会社ではやれることはやった」と、今の会社に転職します。
「あの頃の厳しさが正直、反面教師として役に立っています。今いる会社も営業の仕事がメインですが、仕事で壁にぶち当たったときに、当時のむごい仕打ちを思い出すと『今のほうがまだマシだ』と前向きになれます」
皮肉なことですが、最初に地獄を見たおかげで、今が楽に感じているのかもしれません。
<取材・文/夏目かをる イラスト/パウロタスク(@paultaskart)>