始発から終電まで「テレアポ営業」。ノルマ重視なブラック企業の実態
上司に嫌味を言われて、つい委縮…
主任の嫌味通り、翌日から宮さんは契約を1件も取れなくなってしまいます。
「完全に主任の一言が脳裏に焼きついて、うまく電話ができなくなりました。しかも営業部の入り口に、成績表が貼られ、契約を取れた人には“黒丸”、取れなかった人は“赤丸”と、成績が一目でわかるように晒されるようになったんです。契約1件だけの僕はビリから2番目でした」
新入社員は全部で30人ほどいましたが、毎日3~5件の契約を取っている上位グループと、宮さんら下位グループの格差は歴然。しかし、そこで宮さんは奮起し、数日後、ビリから4番目まで成績アップします。
「ただ、その頃から同期が会社に見切りをつけ、辞めはじめます。まず1週間後、ビリの社員が辞めました。自動的に僕はビリから3番目に格落ち。再びビリから4番目にまでランキングを上げても、気づいたらほかの下位の人が辞めているので、結果的に順位はほとんど変わりませんでした」
辞めたかったけど「負け犬は嫌だ」
入社式で隣だった同僚も、ついにギブアップして2か月後に自主退職。彼は宮さんより上位の成績でしたが、「モノ扱いされるのは嫌だ」と、退職届を出したのです。
「正直、そんな捨て台詞を吐けるなんてカッコイイと思いました。僕も辞めたかったのですが、彼と違って、下位グループからなかなか這い上がれなかった。このまま辞めてしまうと、ずっと負け犬のような気がしたんです」
そんな時、疲弊している宮さんを心配した5歳上の兄が、自分が転職したときに世話になった転職アドバイザーを紹介してくれます。
「兄から『とにかく、今いるブラック企業の対策だけでもいいから話してみれば?』と紹介してくれたので、メールとスカイプで相談しました。すると、アドバイザーは『環境が特殊すぎるので、社外ではなく社内の人に相談すべき。信頼できる営業部の優秀な先輩に話を聞くといい』と提示してくれたんです」