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ワークマン、急成長の秘密とは?数字に弱い社員は出世できない

ビジネス

人事制度や研修を数多く用意している

 まず特徴的なのが、ワークマンのデータ分析についての記事には「AI」や「機械学習」といったトレンドワードはほとんど出てこないことです。社員へのデータ分析力教育を推進している、土屋哲雄専務も「日経XTECH」(2019/03/20)のインタビュー(常務時代)で「当社に突出したデータサイエンティストは必要ない。その代わり、全社員に最低限のデータ分析力を身に付けてもらう。だから底上げするための人事制度や研修を数多く用意している」と語っています。

 事実、ワークマンでは掛け声のみに終わらず、

・入社4年目まではデータ分析関連の強制研修
・部長職への昇進条件には「一定のデータ分析力」が必須

 といったように、具体的な対策にまで落とし込まれています。そして、実際の業務上での分析はほとんど「Excel」で行い、現場で議論しているというから驚きです(参照:日経新聞「破竹のワークマン 秘密はエクセル」2019/7/9)

 この記事は驚きと困惑をもって迎えられたようですが、私自身は全く違和感がありませんでした。むしろ「超合理的! 賢い!」とすら思いました。月額で数十万円もする(が、社内でまともに使える人がいない)高額なデータ分析ツールを導入するより、ほとんどの会社で最初からインストールされているエクセルを導入したほうが、結果的に安く、効率的にデータ分析基盤が整うのです。

インフルエンサー施策が花開く

 また、インフルエンサーの意見をくみ取って活用する方法にも、地道な丁寧さが表れています。ワークマンのインフルエンサー関連施策について、時系列で整理すると下記のようになります。

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2016年8月 ブロガー向け商品説明会を初開催
2018年9月 WORKMAN Plus第1号店(WORKMAN Plusららぽーと立川立飛店)開店
2019年3月 2019年春夏新製品発表会開催
2019年7月 ワークマンアンバサダープロジェクト開始
2019年9月 2019年秋冬新製品発表会・過酷ファッションショー開催
2019年10月 ネット評価連携ショップ第1号店(WORKMAN Plusテラスモール松戸店)開店
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 こうしてみると、約4年前からの地道な仕込みが2020年の今、花開いているといえるでしょう。インフルエンサー選定基準も、機械的にフォロワー数で決めるのではなく、本社担当者が手作業のエゴサーチで実際にアカウントを目視して決めているという点にも丁寧さがうかがえます(参照:プレジデント ウーマン「ワークマンに学ぶ正しいインフルエンサー戦略」2019.10.03)。

「ワークマン」ホワイト/ブラック度判定

ワークマン:★★★★★

 普通の人を正しく戦力にする仕組みを用意している、珍しいタイプの企業です。エクセルで正しく数字分析ができれば、日本のどこでもそれなりに楽しく働けるようになるので(私の実体験でもある……)、良い目の付け所だと感じました。

 また、インフルエンサーの意見を踏まえて展開した「ワークマンプラス」にみられるように、時流を正しくとらえて会社の戦略に組み込むスピードがとても速いです。「普通の人が優秀なビジネスマンになる」ための会社として、よい環境ではないでしょうか。企業サイズも大きすぎず、就職・転職を考えるなら今がよいタイミングだと思います。

<TEXT/ブラック企業アラート(@blackc_alert)>

ブラック企業を生き抜いた歴戦のプロダクトマネージャーが、公開情報からホワイトorブラックを判定し、率直な理由とともにお伝えします。
Twitter:@blackc_alert
note:ブラック企業アラート

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