発芽玄米、水素水…平成に流行った健康法の効果を医師がジャッジ
マイナスイオンに実証されたエビデンスはなし
× 海洋深層水(平成12年頃~)
水深200m以下の層にある海水のことを海洋深層水と呼ぶ。ミネラルウオーターをはじめ、調味料や化粧品などいろいろな商品の材料として利用されている。だが、「表層海水と深層水の組成を比較しているデータを見る限り、大きな違いはありませんでした」と語る岡田氏。「発芽玄米と同じく高価なら手を出すべきではない」とのこと。
× マイナスイオン(平成14年頃~)
リラックス効果のほか、空気中のチリを除去する効果もあるとされ、空気清浄機などに利用された。「以前、私たちのグループでもマイナスイオン加湿器においてプラズマ放電して送気された風にマイナスイオンやフリーの電子が含まれているか検出を試みましたが測定困難であり、いまだに実証されたエビデンスはありません」(一石氏)
△ 脳力トレーニング(平成16年頃~)
脳を鍛えるトレーニングで老化を抑えるともいわれている。ゲーム『脳を鍛える大人のDSトレーニング』で有名に。「刺激を与えることで一時的に脳が目覚めて結果は出ますが、半年もたつと効果は見られなくなります。外部刺激が好影響を与える可能性はありますが、医学的なお墨付きを与えられるレベルではありません」(岡田氏)
○ コエンザイムQ10(平成16年頃~)
医薬品成分として使用されていたコエンザイムQ10が、’01年に食品成分として利用可能に。それ以降、肥満解消や美容、疲労回復などの効果を謳った健康食品が次々と販売されるようになった。「高血圧の改善、糖尿病性腎症の改善などを示すエビデンスは世界中に多数あり、一定の健康効果は認められています」(一石氏)
加圧系トレーニングのトレーニングは危険!?
△ 酸素カプセル(平成18年頃~)
’02年、イングランド代表のベッカムが治療に使ったことから、「ベッカムカプセル」の名で話題に。酸素濃度の高い空気を取り込むことで、疲労回復やケガの早期回復の効果があるといわれる。ただし、岡田氏は「酸素は毒にもなるため、医療の専門家の判断でやるならまだしも、素人が自らの判断で利用するのは危険」と警鐘を鳴らす。
× ビリーズブートキャンプ(平成19年頃~)
日本でも大流行した米軍式のトレーニング。考案者のビリー・ブランクスのキャラクターも人気になり、バラエティ番組などにも多数出演を果たした。その最大の特徴は非常にハードなプログラムだったが、「体質や代謝を変えるキッカケにはなるかもしれませんが、ブートキャンプのエビデンス論文は見つけられませんでした」(一石氏)
× 加圧系トレーニング(平成21年頃~)
専用のベルトで腕や脚の付け根を締めつけて加圧し、その状態で行うトレーニング方法。血流量を制限することで、筋力や回復力の向上、血行促進、ダイエット効果が期待できるという。だが、岡田氏は「科学的根拠がないうえ、血管細胞を傷つけて動脈硬化を促進する恐れがある。普通のトレーニングで十分」と断じた。
× 耳ツボダイエット(平成22年~)
耳のツボを刺激して行うダイエットで、美肌や肩こりにもいいとされているが、岡田氏は「そもそもツボは、その効果が科学的に解明されていません。海外の研究者が中国の有名な病院を複数訪ねて、ツボの場所を描いてもらったところ、位置が違っていたそうです。害はないでしょうが、高い施術料を取るものは×です」と警告。