金融ど素人が「積立投資」を始めたら…20代からの資産形成
積立投資は「指数連動型投資信託」がおすすめ
積立投資を始めるにあたり、おすすめの投資対象が「投資信託」です。これは、投資家から預かったお金をまとめて資産運用の専門機関が運用する金融商品です。
投資信託には、日経平均株価やNYダウといった代表的な指数と運用パフォーマンスを連動させる商品があります。日経平均株価に組込まれている銘柄を中心に運用し、投資対象が分散されているため、リスクを分散できるのです。
例えば、工場の事故や不祥事など個別企業のリスクが起こったとしても、指数連動型の投資信託はあまりダメージをほぼ受けないことになります。日経平均連動であれば、日経全体の市況が下がらない限りは、運用益が出るのです。
この性質は、積立投資と非常に相性がよく、冒頭に話を伺ったAさんの投資対象「eMAXIS 日経225インデックス」も指数連動型の投資信託です。一度、積立投資の設定をして「ほったらかし」にしておいても、安定したリターンを確保できたというのはこのような理屈からです。
なお、もし日本の株式市場の将来が不安ということであれば、「つみたてNISA」の対象でもある「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」などの世界分散系の投資信託も選択肢にあります。日本の人口とは対照的に、世界の人口は増加し続けることが予想されています。いまから長期で積立投資をする場合は、このような種類の投資信託もよいでしょう。
平成元年に実施していれば、資産は3倍以上
積立投資の効果を実際の数値で確認しましょう。平成の30年間に毎月1万円ずつ、日経平均連動商品に積立てたと仮定しましょう。
30年間は360か月なので、1万円ずつの単純な貯蓄であれば360万円の貯蓄になります。一方で、積立投資していた場合は3.5倍以上の1265万円になります(購入手数料、税金を非考慮の総資産評価額の結果) 。
バブル崩壊や東日本大震災などの平成不況などを考えると、単純な貯蓄よりも損をするのではと予想した方もいると思います。しかし実際には、不況時に安価で購入した分は、平均単価の低下につながり、大きな利益を生むことになります。これが「ドル・コスト平均法」の大きな効果です。
政府も推奨する積立投資
政府も実質的に、積立投資を推奨する方針を示しています。「つみたてNISA」は、積立投資に係る税金の優遇制度で、金融庁はホームページでも積立投資の概要や、同庁の基準(安定した運用成績、低い手数料、高いリスク分散性)以上の、個人向けの金融商品を紹介しています。
これは、個人が資産形成をする上で積立投資が有効な手法であることを政府としても認め、推奨していることの表れだといえます。
手取りや退職金、年金の減少などは、個人ではどうしようもできないところもありますが、少額ではじめられる積立投資は今日からでも始めることが可能です。特に指数連動型投資信託と組み合わせた積立投資は、管理も少なくリターンも出しやすいので、初心者に打ってつけの投資手法といえるでしょう。
<TEXT/飯田隆太>