気になるイケメンはマルチ商法の会員。「ダマされた!」と悟った瞬間
「合コンで知り合ったHさんに誘われて、美容グッズのネットワークビジネスの説明会に参加したんです。普通ならスルーする話ですが、気になっているイケメンからのお誘いだったので、下心いっぱいで説明会に参加してしまいました」
そうやって、イケメンに翻弄されて大損した顛末を語るのは、食品会社事務職の佐藤宏美さん(仮名・28歳)。
マルチ商法・ネットワークビジネスに関する相談などが寄せられる国民生活センターには、相談件数が例年、全国で1万件前後あり、2018年度は9759件。年代別の最多は20代で、なんと4割を占めるという結果が報告されています。佐藤さんに一体、何が起こったのでしょうか?
25万円の美容商材を売りつけてくる
西新宿の高層ビルの40階にある会社はスタイリッシュで、まるで外資系企業のようなモダンなモノトーンのインテリアが並んでいました。
「まず50~60人が収容できるセミナールームに通されました。ただ、参加者は私を含めて10人程度でした。そこに、私が気になっているHさんが、アルマーニのスーツの50代のおじさんとともにやってきました」
おじさんはHさん直属の上司で、「自分は、美容商材を売って、フェラーリに乗っている」と言い出したそうです。その美容商材はサプリメントにハンドクリーム、化粧水など多種多様。さまざまなオプションもついて総額25万円でした。
「1週間でシミが消えるというクリームや、年齢が20歳も若返って見えるという美容液とか色々な物がありました。正直、私は商品の説明よりも、いつもと違うスーツ姿でキメたHさんをじっと見ていました。気づくと、契約書が私の机に置かれていたんです」
私以外の全員がサクラであると気づく
周囲を見渡すと、契約書が置かれているのは佐藤さんだけで、他のテーブルのところにはなかったそうです。「すぐに私以外の全員がサクラだということがわかりました」と当時を語ります。
「正直、25万円は高いなあと思いました。でも、Hさんと仲良くできるなら買ってもいいし、知り合いの女性に配ればすぐに元でも取れそう。とはいえ、絶対に売れるという保証はない……その、はざまで揺れ動いていました。
Hさんというわかりやすいエサをぶら下げられた状況で、上司が『使用前・使用後の写真を撮って、使用後の写真をアップして顧客にアピールしたら、すぐに元手が取れるよ』と、契約を詰め寄ってきました」