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なぜ芸人クロちゃんは視聴者に受け入れられたのか?――ミレニアル世代が見た2018年

コラム

東京の変化と「広場」の不在

白武ときお

白武ときお。放送作家、配信作家。担当番組は『ダウンタウンのガキの使い!!笑ってはいけないトレジャーハンター24時』『Aマッソのゲラニチョビ』『霜降り明星のパパユパユパユ』など

白武:ネーミングやデザインだけではなくて、街自体も結構変わっていってますよね。渋谷も「渋谷ストリーム/SHIBUYA STREAM」のように新しい施設が生まれたり、桜丘の再開発が進んでいたり。2030年に渋谷の開発が完成するらしいんで、早く見たいですね。

 新宿の「NEWoMAN/ニュウマン」なんかもできたときは話題になりましたけど、一方ではあんまり人びとに馴染んでいないような気もします。ぼくがあまり新宿に行かないからかもしれないですが。

もて:善かれ悪しかれ渋谷は変わっていきつつある印象がありますね。ハロウィーンで暴動に近いことが起きたり、ここ数年は何かあったら渋谷に集まるような流れが生まれていますし。

白武:大晦日もすごいことになっていましたからね。

もて:いまの渋谷を見ていると、東京には「広場」がないという話を思い出します。たとえばパリには街のなかにいくつも広場があって、サッカーのワールドカップやデモなどさまざまなきっかけでそこに人が集まるようになっている。

 もちろんそこで人びとの交流が生まれるし、喜びであれ怒りであれいろいろなエネルギーが発散される場が生まれているんです。

東京にはエネルギーが発散する場所がない

白武:たしかに広場がないですね。

もて:東京はそういった広場がないまま大きくなっていて、結果的に渋谷のスクランブル交差点に人が集まってしまう。しかも信号が青になったときだけ広場が生まれるというすごく特殊な状況ですよね。

 池袋の西口公園も広場っぽかったと思うんですが、再開発が行なわれることが発表されて、また広場的な空間が失われてしまったという。

白武:西口公園はよかったですね。でも、渋谷の宮下公園もなくなってしまったし、公園みたいなスペースも減っている。人がたまれる場所がないですよね。

もて:みんなが集まるような場所がなくて、コンビニの前でお酒を飲んでるグループが点在しているみたいな……。ちゃんとみんなが集まる場所があるほうが健康的な気がするんですけどね。エネルギーが発散する場所がないからネット上で暴発しているような印象もあります。

若者はどこへいくのか

もてスリム

もてスリム。1989年、東京都生まれ。おとめ座。編集者/ライター。トーチwebにて「ホームフル・ドリフティング」連載中

もて:前回、アジアの話題を少しとりあげましたけど、街の雰囲気みたいなことでいえば上海やソウルは若者がたくさんいて活気があるなと思いました。

白武:東京だとさっき出てきた池袋の西口公園とか、むしろ老人がたくさん集まっている気がしますね(笑)。

もて:それが昨今の「ミレニアル世代」とか「ジェネレーションZ」みたいな盛り上げ方に対する違和感にも繋がっていて……そもそも日本は若者が少ないじゃないですか。

白武:パイが少ないから不利なんですよね。

もて:米国しかり、若者が多い国だったらそういう世代の影響力に注目するのはわかるんですけど、日本だと若者層とマスの層が一致していないという。

白武:テレビのような“マス”メディアは20代に向けてコンテンツをつくらないから、結果的にYouTuberが進化していったわけですよね。

 ただ、テレビもこのままだと老人しか見なくなっちゃうからたまにYouTuberを取り上げたりする。HIKAKINさんが「Mステ」に出るとか、フィッシャーズさんが「HEY! HEY! HEY!」に出るとか。ただ、YouTuberも別にテレビで活躍したいと思っているわけではないですからね。

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