【Z世代は何を想う】新卒1年目から江崎グリコのマーケターに!涙の「課題100本ストック」とは?
1990年代中盤以降に生まれた「Z世代」。この企画では、これからの会社や日本の発展を担うZ世代に焦点を当て、編集部のZ世代・山崎がインタビューを敢行。彼らならではの考え方や将来のビジョンなどを探り、その生き方を紹介していきます。今回は、江崎グリコに2021年入社の、生川雄太郎さんにお話を伺いました。
目次
【インタビューのお相手】
氏名:生川 雄太郎(なるかわ ゆうたろう)さん
生年月日:1997年3月29日
出身地:三重県
出身校:大学 京都大学農学部/大学院 京都大学農学研究科食品生物科学専攻(酵素の研究)
趣味:猫、漫画、自転車
赤い箱の栄養菓子「グリコ」をはじめ、「ビスコ」「プリッツ」「ジャイアントコーン」など、さまざまな食品を手がける江崎グリコ。世代を問わず多くの人々に親しまれており、日本を代表する食品メーカーと言っても過言ではありません。また、2022年2月には創立100周年を迎えたことでも話題になりました。
今回は、そんな江崎グリコ(以下グリコ)でマーケティング職に就くZ世代・生川さんに話を聞いていきます!
【就職活動について】困っている人の手助けをしたい
――就活はどのように進めていましたか?
食品メーカーや、栄養ドリンク剤などをメインで扱う製薬会社を中心に受けていました。
――大学院では酵素の研究をされていたそうですが、それがきっかけに?
いえ、研究分野に近かったというよりも、仕事としてやりたいことに近かったからですね。“困っている人の手助けをしたい“という想いが軸としてあって、「健康食品や医薬品だったら、お客さまの健康課題を解決できるんじゃないかな」と。
その上で、健康課題解決のためには商品に携わる必要があると思い、商品開発やマーケティングの職種を中心に就職活動を進めていました。
――グリコに入社した決め手は何だったのでしょうか?
「健康に注力している食品メーカー」かつ、「1年目からマーケティングを学べる会社」だったからです。特に新卒でマーケティング職となるとなかなか会社がなくて……入社1年目からいきなりマーケティングを勉強させてもらえるグリコは非常に魅力的でした。
また、「扱っている商品の幅が圧倒的に広い」のも大きかったです。お菓子、ヨーグルト、飲料と、色々なジャンルの商品を通じて健康課題解決に取り組めるので、縛りがなくていいなと。
――商品開発とマーケティングはどちらも人気の職種だと思いますが、最終的にマーケティング職を選んだ理由は?
グリコのインターンに参加した際、「マーケティングはお客さまのインサイト(隠れた心理)を深掘りする職種である」と聞いて。そこで、商品開発よりもマーケティングの方がお客さまが抱えている課題を解決しやすいのでは?と思ったからです。商品開発は、会社によってはマーケティングから言われたものをそのまま作るパターンもあったので。
お客さまを第一に考えた上で健康課題の解決に取り組みたかったため、最終的にマーケティング職を志望しました。
――「健康」というワードがたびたび登場しますが、生川さん自身も健康にはかなり気を遣っているのでしょうか?
そうですね。食事面でいうと、なるべく野菜を摂取したり、五穀米を食べたり……食事だけでは十分に補えない栄養素はサプリで補給しています。また、睡眠にもこだわっていて、必ず1日7時間は寝るようにしていますね。枕にもこだわったり、睡眠の質向上に良いとされる服を着て寝たり……この辺を話すと長くなっちゃうんですが(笑)。
あとは運動。週に1回、会社の体育館で社内のメンバーと一緒にバドミントンをして汗を流しています。仕事終わりにガッツリ2時間、結構ハードですが、楽しく運動できるので助かっています。
――食事から睡眠、運動まで……さすがの徹底ぶりですね。
一応“健康事業マーケティング部”にいるので(笑)。社内でも「自分たちが健康じゃなかったら、お客さまを健康にするとか偉そうなこと言えないよね」みたいな話はよくしていて。そこはみんな意識していると思います。
【現在の業務内容】「アーモンド効果」を担当
――現在の業務内容について教えてください。
私は現在「アーモンド効果」というアーモンド飲料ブランドを担当しています。
業務は大きく2つ。1つはアーモンド効果の新商品開発や既存商品の改良・販促企画。もう1つは、2022年12月に東京駅にオープンした江崎グリコ初のアーモンド専門店「Glico ALMOND DAYS」の業務全般です。店舗自体の戦略を練るほか、新商品についての販促・企画業務も担っています。
――新商品のアイデアはどのようにして生まれるのでしょうか?
もちろん色々な考え方があると思いますが、自分達が心がけているのは、“お客さま視点で考える”こと。実際に飲んでくださっているお客さまにインタビューをしたり、購買データを見たりしながら「何歳ぐらいの人がどんなシーンで買っているか」「どんな人がリピートしてくれているのか」などを把握して、今はどの商品がお客さまに評価されているかを分析します。そこから出た結果からアイデアを広げていく感じですね。
――インサイトの深掘りが鍵になっているんですね。今はどんな味を開発しているのでしょうか?
直近でいうと「3種のナッツ」が好調で。さまざまな角度から分析した結果、お客さまに評価されているポイントが3つ見つかったんです。それを元に400個くらいの案が出て、そこからさらに絞ったアイデアをベースに、いくつか新作を作っています。まだ発売前なので詳しい味は言えませんが……(笑)。
――入社して一番大変だったことはなんですか?
そうですね。入社してすぐ、マーケティング部の研修で「課題100本ストック」というものがあったんですが、これはなかなか辛かった……。
シンプルにフラッシュアイデアを100本出すだけならまだ簡単そうなんですが、「どんなお客さまのどんな課題を解決するのか」「どういうふうに解決するのか」など、お客さまの深いところまで突き詰めた課題とその課題を解決するアイデアを100本考えなければいけないんです。
1本1本の課題とアイデアを上司に見せて、改善点などのフィードバックをいただいて。週に5本くらいをひたすら時間をかけながら考え抜き、半年〜1年半くらいでなんとか100本出し切る。これは本当に大変でした……。
ただ、やっていくうちにだんだんと考え方が染み付いてくるので、80本目くらいになってくるとアイデアのクオリティも自然と高くなり、上司に褒められることも多くなってきて。
今振り返ると、お客さまのインサイトを捉えるトレーニングとして、かなりやりがいのある研修だったなと思います。
【うちってこんな会社です!】江崎グリコの社風について
――グリコらしさを感じる制度・ルールはありますか?
そうですね。個人的にいいなと思うのは、「社内公募制度」。基本的に部署が変わることは滅多にありませんが、1つの部署を約3年経験した人であれば、自ら手を挙げて他部署にチャレンジできるんです。アーモンド効果のマーケティング部から会社のグループ広報部に異動した人もいましたし、結構みなさん社内公募制度を使っていろんな経験を積まれている印象があります。
あと、先ほどバドミントンの話をしましたが、グリコは社内の部活動も非常に盛んで。本社(大阪)は体育館があって、業務時間外はそこで自由に身体を動かすことができます。定期的に運動する機会にもなりますし、普段あまり話さないメンバーと交流ができるので、すごくいいなと。
――それは羨ましい……働き方についてはいかがですか?
フレックスタイム制のなかでもかなりゆるい方だと思います。1日最低2時間働けばOKで、他の日の残業時間が多ければそこで帳尻を合わせる、みたいな感じ。月曜の朝とかはみなさん遅めに出勤していますね。もちろん、仕事中にお菓子を食べるのも問題なしです。
――社内イベントや飲み会の頻度は高い方ですか?
他社さんのことはあまり分かりませんが、平均ぐらいだと思います。部署によっても異なりますが、私は週1回程度、仲のいい同期メンバーや同じ部署のメンバーと飲みにいきますね。この前は同期の子と飲みに行こうとしたら部長がたまたま通りかかって、そのまま3人で飲みにいくことになりました。楽しかったです(笑)。
――カジュアルに誘い合える雰囲気なんですね。
そうですね。先輩や上司のみなさん含め、お誘いしたら来てくださる方が多いです。
――ちなみに……社内恋愛の話って聞きますか?
はい、聞きますね(笑)。同じ部署や同期にも社内結婚をしている人がいますし、会社全体として社内結婚は珍しくないと思います。
【今後について】夢や目標は?
――今後の夢や目標について教えてください。
そうですね。まずはもっとアーモンド効果の新作を出して、お客さまの健康課題に取り組んでいきたいです。まだ出し切れていない新商品がたくさんありますから。あとは、「Glico ALMOND DAYS」の認知度がまだまだ低いので、お店の魅力を発信して、もっとたくさんの人に来てもらえるようにしたいですね。
――10年後のグリコはどんな進化を遂げていると思いますか?
個人的な意見ですが、会社として「ずっと世に残り続けるブランドを作ろう」という方向性があるので、たくさんの人に親しまれるような新しいブランドが3〜5個は増えているんじゃないかなと。それによって今はまだ解決できていないお客さまの健康課題も解決しつつ、会社としても成長していけたらいいなと思います。
【上司・先輩に聞きました】生川さんはどんな人?
【上司・江川さん】
ものすごくまっすぐで、高い理想を持っています。 目の前で起こっていることや周囲の意見をすべて真正面から受け止め、自分自身で解釈できるまで何度も質問しているのが印象的です。“自分がなんのために働いているのか”だけでなく、“どんな風に社会に貢献したいのか”までをちゃんと考えていて、若いうちから「人生のビジョン」を持っているところもすごいなと。強い向上心とモチベーションを持って業務に取り組む姿勢を目にするたびに、「こちらも負けてられないな!」という気持ちにさせてくれます。
【先輩社員・折原さん】
当事者意識が高く、何事にも責任をもって取り組み、わからないことも1から貪欲に学び続ける姿勢があります。上長へ資料説明がうまく伝わらず、議論が拡散してしまった日の翌日に、プレゼンや資料の作り方の本を自ら購入し、昨日学んだ本では……という話をしていたときは、彼の学ぶ意欲の素晴らしさに改めて気が付きました。自分の意見を臆せず伝えたり、自分が納得できるまで質問したりするなど、議論を諦めない姿勢に私も刺激をもらっています!
――――
理路整然とした生川さんのお話一つひとつから、彼の信念の強さを感じました。“困っている人の手助けをしたい”という就活時代からの想いを今なおブレずに持っているからこそ、自分に厳しく、徹底的にお客さま視点を大切にしたアイデアを実現させているのだと思います。生川さんの手がける新商品が待ち遠しい!
取材協力:江崎グリコ株式会社
<取材・文・インタビュアー/山崎大 撮影/渡辺昌彦>
あわせて読みたい