ゴミを拾ったら「死ね」。高田馬場の“シンボル”を守る学生団体の苦悩と現実
コロナ禍にあって急速に問題視されるようになった、路上や公園で飲食する「路上飲み」。学生の街・高田馬場では駅前ロータリー広場での飲酒によるポイ捨てや騒音が増加し、通行人や近隣住民を悩ませています。
「ロータリーの会」(@Rotary_waseda)はそうした散乱ゴミ問題を解決するために2020年に発足した学生団体。早大生で創設者の新井国憲さんを中心に50名弱の会員で活動を行っています。今回は、新井さんと団体メンバーの中村竜之介さんの2人に、会の発足や、路上飲みの状況、意外なゴミの種類などについて聞きました(肩書きは2022年2月の取材当時)。
歩き旅で見た不法投棄がきっかけ
──なぜ高田馬場駅前ロータリー広場(ロータリー)を清掃する学生団体、「ロータリーの会」は発足したのでしょうか。
新井国憲(以下、新井):僕は出身が福岡で、大学入学にあたって上京しました。そこで高田馬場駅にはじめて降りたときに夜のロータリーで学生や若者たちが大声でお酒を飲み散らかし、ポイ捨てをしている惨状に驚いたのが原体験です。その後、スポーツ系のサークルに入ったのですが、そこがかなりお酒を飲むサークルでした。それで僕もその一員としてロータリーを使って、同じように飲み騒いで、汚してしまったんです。
大学3年になってサークルを引退した後、東京から福岡まで歩いて旅をしました。日本は3分の2が山地ですから、歩いている途中に山が多く、その山中に産業廃棄物が不法投棄されているのを目撃しました。その旅が終わった後にゴミ問題に対してなにか行動を起こしたいと思い、始めたのがロータリーの清掃です。自分自身がそこを汚していた過去もあり、後輩を誘って、ロータリーの会を立ち上げました。
──活動に対する周りの反応はどうですか。
新井:夜に清掃活動をやっているので、あの状況の中、ゴミを拾っている人は目立つ存在ではあります。目の前でゴミを捨てられたりもしますね。あまり注意はしないようにしているのですが、怒りの沸点に達して注意したことでトラブルに発展することもありました。
ゴミを拾ったら罵声で「死ね」
──どのようなトラブルでしょうか。
新井:目の前でタバコを吸っている学生がポイ捨てをしたので、僕が拾って「灰皿に入れてください」と言うと、急に中指を突きつけられて「死ね」のようなネガティブでひどい言葉を投げかけられました。あと、活動当初は嘲笑されている感じはありました。はじめはひとりでやっていたので、ロータリーを無法地帯だと思っている多くの人からは異端視されていたように感じます。
中村竜之介(以下、中村):女性が帰り際に、こちらの存在に気付いていながらも空き缶をポイ捨てされたことが心に残っています。彼女は植え込みにポイ捨てをした後、こちらを一瞥(いちべつ)しました。