株価急騰でも“ワクチン銘柄”投資はNG。本当に買うべきは?
2020年11月16日(以下、日本時間)、バイオテクノロジー企業の米モデルナが、新型コロナウイルスワクチンの94.5%の確率で予防効果を示したとの結果を発表しました。つづく11月19日には、米製薬大手ファイザーが、バイオ製薬会社の独バイオンテックと共同開発中のワクチンが、95%以上の効果を示したと発表しています。
ワクチンへの期待感からか、16日にニューヨーク株式市場ダウ平均株価の終値は2万9950ドル44セントをつけ、今年2月につけた最高値を更新。日本でも17日の日経平均株価が29年半ぶりに2万6000円台に回復しました。
拡大を続けるコロナに、株価も左右されている
直近では23日、ホワイトハウスでワクチン配布を統括するモンセフ・スラウイ氏が、米国民へのワクチン接種が12月11日にも始まるとの見通しを明らかにしました。
一方、依然として新型コロナウイルスの感染拡大は収まっていません。アメリカでは18日に新型コロナウイルス感染症による死者数が25万人を突破。ニューヨーク市は19日に公立学校再び閉鎖することを決定するなど感染拡大に伴う対応におわれています。
東京都でも23日までの7日間平均が441.6人と過去最多、また大阪府でも23日に過去最多である490人の感染者が発表されました。こうした影響を受けてか、株価も激しい値動きを見せています。
この状況を投資家はどう見ているのか、相場に乗るべきなのか。株式投資YouTuberチャンネルを運営する株式会社Zeppyに所属し、投資家YouTuberとして活躍するKENさんに話を聞きました。
ワクチン銘柄への投資はリスクが高い
――昨今のいわゆる“ワクチン市場”について「バブル相場か?」など、様々な議論があるかとは思いますが、KENさんは率直にどう見ているのでしょうか?
KEN:バブルかどうかという点に関しては判断が難しいです。新型コロナウイルス感染症の動向もまだ判断がつかない部分がありますから。ただ、転換点にあることは事実だと思います。また、ファイザーやモデルナのようなワクチン銘柄に投資すべきかどうかという話に関しては正直なところ、個人投資家が勝負できる場所ではないと考えています。
そもそも、ワクチンは臨床を何重にもかけ、アメリカで言えばFDA(米国食品医薬品局)で認可されないと使えるようにはならない。ここまできてようやく収益化をする段階になります。つまり、収益源となる要素を見極めづらいわけです。
日本でも製薬会社のアンジェスが新型コロナウイルスワクチンの開発に乗り出しており、発表のたびにひと相場作るのですが、最終的に株価が下落してしまう。
――かなり、リスクが高いというわけですね。
KEN:そうです。また、基本的に医薬系の銘柄はアメリカ、海外主導です。さわるのであれば、英語論文を読めるのが最低条件です。しかもある程度医療系の知識がなくてはいけない。
結局、一次情報を手に入れるのに手間取ってしまい、気が付いた時には大ガラ(大暴落)が来ている、なんてことになってしまいかねません。またファイザーやモデルナクラスになるとAIによるいわゆるアルゴリズム取引が入っています。個人で参入するには難易度が高いでしょう。