大手メーカーで挫折した慶應生が語る「学歴ブランドのプレッシャー」
都内私立大学の雄、慶應義塾大学を卒業後、誰もが知っている大手メーカーに就職した大野シンジ(24歳・仮名)さん。
誰もがうらやむ慶應ブランドの持ち主ですが、ネームバリューが思わぬ足かせになることもあるそうです。「ブランド力のプレッシャーは大きかった……」そう語ります。
学歴をバネにできなかった慶應生
高校から偏差値の高い高校に通っていた大野さん。受験にはさして困らなかったそうで、ストレートで慶應の商学部に合格したそうです。
「在学中は気ままに楽しく過ごしていました。趣味のバンド活動をしながら軽音サークルのみんなで遊んだりして。僕はいわゆる“サブカルクソ陰キャラ”みたいな人間ですが、在学中は自ら似たような人が多いコミュニティに属していたので、特に困ることはありませんでした」
しかし、大野さんは結局学歴を活かせなかったといいます。
「安定思考だったので、大企業に入りたいと思っていました。在学中、これといった資格は取らなかったので、もともと興味のあったメーカーを、営業志望で就活しました。営業を志望したのは、自分に他に何ができるのかわからなかったからです」
無事に第一志望のメーカーに受かった大野さん。「研修中は座学でもしっかり評価していただくことができて、“さすが慶應!”と言われた」と、豪語。かなり浮かれていたようです。
「頭はいいんだからもっと活かしなよ、慶應君」
しかし、1年目の夏、実践的なポジションについてから仕事が急にきつくなったそうです。
「もともと口数が少なくて気弱な性格なので、自分の取引先に対して、びっくりするくらい上手に営業ができなくて。値段の交渉を上手くかわせない。対等な関係性で話ができない。緊張してどもってしまうので上手く話せませんでした」
最初のほうは優しかった先輩たちですが、散々な営業成績にしだいにハードモードに。
「御用聞きのような営業になってしまっていることを、上司や先輩に注意されました。最初の頃は段々慣れてくるよ、と優しく注意されていましたが、いつまで経っても自信が持てず、どんどんきつくなっていきました」
「座学の時はあんなにできてたでしょ?」「頭はいいんだからもっと活かしなよ、慶應君」などと先輩に言われ、いつしか慶應卒であることがプレッシャーを感じるようになったそうです。