4月から中小企業も残業時間の規制が。本当に残業は減るのか?
2020年4月1日から働き方改革関連法案の一環として、中小企業の残業時間が大幅に規制されるようになりました。中小企業で長時間労働を強いられている人にとっては明るいニュースですね。でも、どれくらい残業が規制されるのか、私たちの働き方はどう変わるのか気になるところです。
そこで弁護士で公認会計士の資格を持つ後藤亜由夢先生に今回の残業規制について詳しく教えていただきました。
大企業ではすでに規制が始まっている
今回、なぜこのような残業規制が始まったのでしょうか。
「近年、長時間労働が原因と考えられる自殺や健康被害が相次ぎ、社会問題化しています。長時間労働は労働者の健康の維持や仕事とプライベートの両立を困難にします。実際に、男性の家庭参加が難しくなり、女性はキャリア形成が阻まれ、それが少子化の原因にもなっています。
そのため、長時間労働を是正し、ワーク・ライフ・バランスの改善を目的として労働基準法上の時間外労働の上限が改正され、大企業では2019年4月から適用されています」
では、大企業ではすでに残業規制が始まっているのですね。なぜ中小企業は1年遅らせたのでしょうか?
「中小企業は大企業と比較して労務管理の体制が十分でないことに加え、人材の確保や発注者等との取引関係などに困難な課題を抱えている場合が多いと言われています。そのため、長時間労働の是正に向けた取り組みをするにあたって、中小企業においては上記の時間外労働の上限規制の導入を1年遅らせた、という経緯です」