「ココイチ」だけがなぜ全国展開できたのか?カレーチェーンでひとり勝ちの理由
街中には「どうしてあのお店は成り立っているんだろう?」とか「なぜあのお店だけ変な内装なんだろう?」といったビジネスに関する疑問があちこちにころがっている。たとえば渋谷の天津甘栗屋はなぜ超一等地に出店できるんだろう? という具合である。こうした不思議の数々を気になってネットで調べたことがあるという方も多いだろう。
しかし、世にあふれる「気になる経営」の解説はほとんどすべてが不十分だ。本当に気になる経営の疑問を解決するには「なぜあの会社は~なのか? 式の疑問を考え続けている「経営学」の力を借りる必要がある。そう、気になる経営は経営学を学ぶ絶好の事例なのである。題して「“気になる経営”学」である。
3大牛丼チェーンを凌駕する店舗数
チェーン店から個人営業まで、カレー店は日本において数多く存在している。日本におけるカレー好きの多さを考えれば、それも当たり前だろう。しかも、こういったお店の中には行列の途絶えないところも多い。
だが、世にカレー店はあふれるのに、どこでも目にするカレー屋さんというとココイチくらいしかないのはなぜだろう? こうした疑問を持ったことのある方もいらっしゃるのではないだろうか。現在では上等カレー、もうやんカレー、ゴーゴーカレー、日乃屋カレーなどの競合も出てきてはいるけれど、ココイチほどの店舗数のカレーチェーンは存在しない。
参考として現在のカレー業界の国内店舗数(2020年4月10日)をみてみると、上等カレーで48店舗、もうやんカレーで12店舗、ゴーゴーカレーで76店舗、日乃屋カレーで63店舗に対してココイチすなわちカレーハウス CoCo壱番屋の店舗数は1487店舗である。業界2位のゴーゴーカレーの約20倍の店舗数を誇っているのである。
飲食業の全国展開として真っ先に思い浮かぶ牛丼屋をみてみると、吉野家で1214店舗、松屋で958店舗でなので、真の意味で全国展開しているカレーチェーン店はココイチだけといっても過言ではない。