<第6回>「どんどん刷れ!」商品世界に君臨する大量の紙幣たち――『貨幣論』と『トイ・ストーリー』を混ぜてみた
工場は動き続けました。
紙幣「どんどん刷れ! どんどん刷るんだ!」
紙幣は刷られつづけ、ついには商品世界を埋め尽くすほどになりました。足場がないどころではありません。紙幣の束によって商品たちが埋もれていくほどなのです。
上着「ぐっ……なんだこりゃ!」
コーヒー「紙幣がありすぎだ!」
上着「お、溺れる……」
コーヒー「たす……けて……」
紙幣は地層のように積み重なっていきました。お茶に連れられたリンネルは船のところまでやってきました。そこには、巨大な船が完成していました。
お茶「もうすぐ洪水が起こる」
リンネル「なんだって?」
お茶「ノアの洪水だ!」
<TEXT/菊池良 イラスト/タナカカツキ>
【次回予告】
商品世界は紙幣によって埋め尽くされてしまった。リンネルとお茶の2人は寸前のところで船に乗り込み一命を取り留める。
夢に出てきたマルクスの言葉通り、商品世界に洪水が起きようとしていた。はたして商品たちはこの状況から脱することができるのか?