非モテな僕が単身赴任したら、なぜか「モテ期到来」。しかし…
ところがあっという間に、女店長のたくらみに巻き込まれてしまったのです。
「採用担当者がやってきたので、女店長は面談室から出ていき、荒木さんはどきどきしている心臓を抑えながら、気持ちを切り替えて、商談に臨みました。契約が成立して、ほっとしながら会社に戻ろうとしたら、携帯が……。知らない番号に、誰だろうと思って出ると、女店長でした」
女性からのアタックが続々と…なぜ?
「一緒にご飯をしませんか。美味しい店を紹介しますよ」という彼女の誘い文句。取引先ということで無下にもできず、多少の下心もあって荒木さんは、女店長と一緒に食事をすることに。さらにバーにいって、酒を飲んだそうです。
「はっと気づくと、深夜0時過ぎ。終電はとっくに過ぎてしまっていたそうです。すると女店長が『泊まっていいですか』と。繁華街の近くの荒木さんのマンションに一緒に到着すると、彼女は荒木さんにしなだれかかってきたそうです」
まるでベタな不倫ドラマのような展開ですが、それが単身赴任の3日目。それ以降も、荒木さんは営業先の女性たちや、接待で飲みに行ったクラブや飲食店など、次々と女性からアタックされたそうです。矢加部さんはこう分析します。
「荒木さんは中肉中背の優しそうな雰囲気。外見が普通なので、モテ男に見えないですね。でもファッションセンスがあって、清潔感があるから、女性に好かれるタイプ。ですが、まさか連日のように、女性からモテモテだなんて、映画の『モテキ』ではありませんが、本人が一番驚いていました」
本社に呼び戻され、告げられた意外な人事
成績さえキープしていれば、バレても文句を言われないだろうと、荒木さんは仕事で手を抜くことなく、結果を出してきました、ところが本社の事業部長に呼び出しがかかって、単身赴任が解かれたそうです。
「やはり単身赴任先で女遊びをしていたのがバレていたみたいです。本来の期間よりも短い1年後で本社に戻された荒木さんは、今までと全く関係ない営業部に配属になりました。
そこで飛び込みをさせられ、心身ともに疲れて退職。今は別会社に転職しました。不倫が奥さんにバレていなかったのが不幸中の幸いですね」
女遊びが原因で退職した荒木さん。モテキの頃は、周囲の男性からのやっかみもかなり多かったそうです。
― 特集・Around30解雇のリアル Vol.9 ―
<取材・文/夏目かをる イラスト/真船佳奈>