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【社員食堂に潜入】エスビー食品の社員はどんなお昼ごはんを食べている?

グルメ, ビジネス

大手食品メーカー、エスビー食品。圧倒的シェアを誇るカレーやスパイスなどでよく知られており、読者のほとんどが、その商品と味に親しみ、お世話になったことがあることだろう。エスビー食品の事業拠点のひとつである、東京・板橋に「板橋スパイスセンター」に、スパイスとハーブのリーディングカンパニーらしいこだわりが溢れた社員食堂がある。その名は「SPICE SQUARE」。

エスビー食品の社員はどんなお昼ごはんを食べているかを覗いてみた

エスビー食品「板橋スパイスセンター」

「板橋スパイスセンター」の中にある「SPICE SQUARE」の様子

「社員食堂」と聞くと、社員たちがザワザワゴッタ返し、なんとも慌ただしく雑然としていそうな先入観を抱きがちだが、この「SPICE SQUARE」はその先入観を覆すがごとく、ゆったりとした空間。そして、ここで提供されるメニューも、社員への健康寄与と同社が目指すサステナブルな取り組みを反映したものが多く出されるという。

今回はこの「SPICE SQUARE」に潜入。エスビー食品の社員たちが食堂でどのような食事を食べているのかを見ながら、同社の思いについて各担当者にも話を聞いた。

主力メニューはやっぱりカレー!?

「地の恵み」を意識したナチュラルテイストの「SPICE SQUARE」

ここ「SPICE SQUARE」が従来の社員食堂から大きくリニューアルしたのは2021年。エスビー食品ならではの「地の恵み」を意識したナチュラルテイストの内装を施した。

また、スパイスやハーブを各所にあしらっているのも特徴だが、「スパイス」や「ハーブ」は食卓の彩りやアクセントとなる存在であることから多様性を表し、「多様な社員」をイメージしているという。

このような思いから、「スパイス&ハーブが彩る食卓を中心に、多様な社員で終日賑わう広場のような場所となるように」という想いを込めて「SPICE SQUARE」と名付けたと、広報・IR担当の田代真春さんは語る。

エスビー食品広報・IR室の田代真春さん

「『おいしさ』と『健康』をお届けする企業として、社員一人ひとりにおいても『食を大切に楽しみ』『健康で活き活きと』活躍できる環境整備にリニューアルしました。また、より『S&Bらしく』より『おいしく・健康的』な食堂メニューの提供も行っています」(田代さん)

ご存知の通り、エスビー食品はカレーが主力商品の一つだが、ここ「SPICE SQUARE」でも日常的にメニューにラインナップされるという。社員たちは日頃からカレーを食べ慣れていると想像するが、そんな中、どんなカレーが出されるのかは興味がそそられる。

エスビー食品の社員たちが口にするカレーとは?

「カレーメニューについては、スパイスとハーブを軸とした商品を取り扱う当社ならではのこだわりとして、様々な自社商品を使用したり、スパイスやハーブをアクセントとしたものや、カレーの具材も工夫をこらしたものとなっています。

第2、第4金曜日は、スペシャルカレーDAYとして、スパイスからつくるカレーや、2種以上のカレーが楽しめるようにするなど、バリエーション豊かなカレーメニューを提供しています」(田代さん)

カレーだけでなくスパイスとハーブを使用した定食も

カレー以外のメニューも

カレーだけでなく他のメニューもあり、特に健康やトレンドを意識した食材を取り入れた定食が特徴だそうだ。

「定食メニューの一つは、通称『S&Bセット』と呼ばれるもので、自社のスパイスとハーブを使用していることがポイントです。メニュー表には、料理に使用された商品の情報をポップで展示しています(例『チキンのローズマリーローストラタトゥイユ添え』『鮭のスペイン風パプリカムニエル』『ヒハツ(胡椒の一種)香るポークステーキ』など)。

また、これら定食やカレーには、ミニサラダをセットにし、ご飯も日替わりで発芽玄米、麦ごはんなどの健康米が選べるようになっています。

さらに、定食には4種類以上ある小鉢のうち、好きな2種を各自選べるようになっており、社員の好みにあわせてさまざまなおかずをバランスよく食べることができます。

その他、当社コーポレートサイトで紹介しているレシピや、トレンド感のある食材やメニューなども取り入れています」(田代さん)

社員への「健康啓発」メニューと取り組み

田代さんが最初に話した通り、提供されるメニューは「おいしさ」だけでなく健康にもこだわっていることが特徴。年間4回ほどの「健康啓発」に特化した取り組みを実施し、健康にまつわるテーマのもとスパイス、ハーブを活用した食事を提供するという。その詳細について、健康推進局の押田知樹さんに教えてもらった。

エスビー食品健康推進局の押田知樹さん

「弊社社員への健康啓発として毎回メインテーマを定め『健康メニューの提供』と合わせて『健康度測定会』を実施しております。

過去に実施したものは、『骨密度強化週間』『野菜摂取量増加週間』『減塩週間』などですが、それぞれの実施内容はこちらです。

『減塩週間』……測定機器:血管年齢測定(メニュー例『スパイスが隠し味のなすの味噌炒め』)
『ビタミン強化週間』……測定機器:肌年齢測定(メニュー例『ぶりとれんこんの変わり南蛮』)
『野菜摂取量増加週間』……測定機器:緑黄色野菜摂取量測定(メニュー例『ピリ辛豚から揚げのエスカベッシュ』)
『筋肉増強週間』……測定機器:体組成測定(メニュー例『鶏むね肉のターメリックピカタ』)

普段測定できない自分の健康状態を把握してもらい、食生活を改善するために必要なメニューがいつでも食堂で食べられることはとても魅力的だと考えています。

今後も社員への様々な角度から、健康メニューと健康機器の両方を使用して各自の健康を考える場を設けていきたいと考えています」(押田さん)

エスビー食品SDGs推進チームの南部義治さん

「当社では『食から考えるSDGs』と題し、毎月社員向けに、サステナビリティやSDGsに関連したテーマを『食』の切り口で取り上げ情報発信をしています。『SPICE SQUERE』においてもこの『食から考えるSDGs』に関連したメニューを提供しているんです。

これまで提供してきたメニューには、『アレルゲンフリー(28品目不使用)カレー』『ブロッコリー丸ごと活用カレー』『ベジタブルハヤシライス』『大豆ミートのワンプレートランチ』などがあります。

さらに押田が紹介した『減塩週間』では、健康推進局とSDGs推進チームと連動し『サステナブル食材』を用いた『減塩』メニューを提供したこともあります」(南部さん)

ここで言う「サステナブル食材」には、食堂運営企業の協力により用いたものや、エスビー食品の商品の中で賞味期間ではあるものの、さまざまな理由から出荷できず、廃棄になる可能性があるものも活用するという。

「『食』を取り扱う当社において、食事は社員にとっても非常に関心の高いテーマです。昼食シーンなど業務を少し離れたところでも、実際に「食から考えるSDGs」に関連したメニューを食べたり、サステナビリティやSDGsに関連した情報を得たりすることで、社員としてだけではなく、一個人として感じることも多いのではと考えています。

こういった背景から、『SPICE SQUARE』でもサステナブルを感じる食を提供することで、社員がSDGsに関心を持ち、理解を深めるきっかけになればと思います。

今後も様々な企画を考えていきたいです」(南部さん)

毎年実施の「フェアトレード月間」、毎月実施の「食から考えるSDGs」

「フェアトレード月間」に実施した、フェアトレード認証商品を活用した取り組み

南部さんが紹介した、「SPICE SQUARE」でのサステナブルな取り組みのひとつとして、今年5月には「SDGs浸透施策連動メニュー」を提供したという。

フェアトレードとは、開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することにより、開発途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す「貿易のしくみ」で、毎年5月第2土曜日は「世界フェアトレーデー」と呼ばれ、世界中でフェアトレードに関するイベントが行われている。

日本でも5月は「フェアトレード月間」とされ、それに合わせて実施された「ミリオンアクションキャンペーン」に、エスビー食品は昨年に引き続きキャンペーンに賛同・協賛。今年度の新たな取組みとして、エスビー食品グループ社員の参加 1 アクションにつき 1 円が開発途上国の生産者へ寄付される、さまざまな企画を実施し、「SPICE SQUARE」でも、このキャンペーンとの連動企画として、同社のフェアトレード認証商品「ORGANIC SPICE」を使ったスパイスカレーの提供や、フェアトレード認証コーヒーの販売を行った。

SDGs推進チームの南部義治さんはこう話す。

「おいしさ」「健康」を届ける企業として、社員の食環境はとても大切

「SPICE SQUARE」にはエスビー食品が大切にしている「食」への思いが詰まっていた

「SPICE SQUARE」は、残念なことに一般の方は利用することができない。

しかし、一昨年には、コロナ禍での外出自粛が続き、外食をする機会が減少している状況において、かねてより問い合わせの多かった「エスビー食品の社員食堂カレー」を、デリバリーサービス機能を活用して近隣住民に口にしていただくデリバリー体験を実施し、メディアでも取り上げられ大きな話題になった。

社員を対象とした企画だけでなく、社外の方も参加できる取り組みがさらに増えていくと良いなと思う。

社員一人ひとりの食環境を整えることが大切

最後に改めて田代さんに「SPICE SQUARE」の取り組み、そしてエスビー食品が考える「食」への思いを聞いた。

「『食』を取り巻く環境は、気候変動や自然災害などのさまざま脅威や、経済・社会情勢の変化から、不確実性が高まっています。

社会と私たち企業が永続的に存在し続けるためには、サステナビリティへの取り組みが不可欠で大きな課題です。

『おいしさ』と『健康』をお届けする企業として、まず社員一人ひとりの食環境を整えること。また食を通じてSDGsに関心を持ち、理解を深めてもらうことが大切だと考えています。

社員が今後も『食を大切に楽しみ』『健康で活き活きと』活躍できるよう「SPICE SQUARE」の昼食環境の整備により一層力を入れていきたいと思っています」(田代さん)

「社員食堂」と言えど、自社が掲げる理念、CSRなどが存分に取り入れられた「SPICE SQUARE」。エスビー食品の社員はこんな意義深い昼食をとっていることがわかった。そして、こういった理想的なモデルが他企業にも広がっていくことを願いたいとも思った。

<文/松田義人、撮影/bizSPA!編集部>

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エスビー食品
https://www.sbfoods.co.jp/

音楽事務所、出版社勤務などを経て2001年よりフリーランス。2003年に編集プロダクション・decoを設立。出版物(雑誌・書籍)、WEBメディアなど多くの媒体の編集・執筆にたずさわる。エンタメ、音楽、カルチャー、 乗り物、飲食、料理、企業・商品の変遷、台湾などに詳しい。台湾に関する著書に『パワースポット・オブ・台湾』(玄光社)、 『台北以外の台湾ガイド』(亜紀書房)、『台湾迷路案内』(オークラ出版)などがある

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