父親本人は矛盾だらけ

　一方、自ら作ったルールを子供たちに押し付けたものの、父親本人は矛盾だらけ。

「父親は銀行や不動産に対して、独特の偏見を持っていました。そのため僕は投資を勉強したくても、父親から刷り込まれた偏見のため、お金をもうけることに関して罪悪感のようなものを覚えてしまって、勉強を中断してしまいました」

　ところが父親はバブル崩壊後に投資マンションの営業マンから言葉巧みに「投資のつもりで」と勧められて、ワンルームマンションを購入したのです。

　さらに「家は仕事場ではない」という理由で、父親がFAXやインターネットを禁止にしたため、工藤兄弟たちは高校を卒業するまで家でインターネットを使ったことがなかったのです。

「それなのに父は僕たちが家を出てから、すぐにパソコンを購入して、ネットショップやメルカリにはまっているんです。休日には自宅でパソコンを使って仕事をしています。ほんと、矛盾だらけの父です」と苦々しい表情の工藤さん。

　父親の個人的な偏見に満ちたルールに縛られた工藤兄弟たちは、束縛が多い組織人を選ばず、自由業を選びました。家庭環境が人生の指針を決めたといっても過言ではないでしょう。

＜TEXT／夏目かをる　イラスト／カツオ（@TAMATAMA_GOLDEN）＞

あわせて読みたい
＞＞「お兄ちゃん助けて！」妹を守ろうと一肌脱いだ兄、結局助けなかったワケ

＞＞上司から「娘とLINEしてくれ！」と懇願されて…本人から聞いた驚きの背景