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「父親が借金で蒸発」バブル全盛期の狂乱を描く漫画。作者が歩んだ“驚きの半生”<漫画>

暮らし

クビ宣告で根無し草に…

──その時代に漫画家としてデビューも?

近藤:それがですね……。アシスタントとしても楽しく過ごしていたんですけど、バンドのほうにも力を入れていまして。都内のバンドコンクールで優勝して、レコード会社の方からスカウトのお話も来たりしていたんですよ。それである日、先生に「来週、バンドのライブがあるんで、休ませてください」って言ったら、クビになって……。

──それだけ、音楽の道にも進みたい気持ちがあったんですね?

近藤:そうなんですよ。こっちでもイケるかなって。だから、クビを宣告されても受け入れて、音楽に進もうと。ところが、その後すぐにバンドも解散になっちゃって。仕方なく、実家に戻ってまたフラフラするような生活に突入しました。

過酷だった週刊連載の現場

ココ・ロングバケーション

『ココ・ロングバケーション』の冒頭。父親の葬儀シーンから物語は始まる ©近藤令/講談社

──では、実家に戻られて、コツコツと漫画を描く日々に?

近藤:なかなか気持ちは創作のほうには向かず、ずっとフラフラしてましたよ。そんな生活を送っているときに、アシスタント時代の先輩から連絡があって。「暇だったら、アシスタントとして手伝ってくれない?」って。

──その方は、商業誌で連載をされていた方なのですか?

近藤:もちろん、週刊連載をされていた方で。特に、なにもしていない時期だったので何気なく引き受けたら……本当に地獄のような日々で(笑)。週刊連載ってこんなにしんどいの? みたいな。そのときが、いちばん真面目に漫画を描いていたかもしれないですね。

ココ・ロングバケーション(1)

ココ・ロングバケーション(1)

時はバブル全盛期。主人公のユウは、10年前に家出した父と会うことを決意する。指定された場所はフィリピン!? 90%実話な、ディープすぎるフィリピン紀行が開幕──

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